15.『古典落語』「子別れ(こわかれ)」
八五郎は、酒に溺れては家に金も入れず、博打と喧嘩に明け暮れる日々。ついには堪忍袋の緒が切れた女房、おたかが三行半を突きつけ、幼い息子・亀吉を連れて実家へ帰ってしまう。「出てけ!」と言われたときの八っつぁんの負け惜しみと空元気、しかしその実、胸の奥ではポッカリと大きな穴が開いたような淋しさを感じてい... 続きをみる
語り継ぐこころ/日本おとぎ噺・江戸小咄・古典落語・笑いの匠たち
日本おとぎ噺・江戸小咄、古典落語・笑いの匠たちのダイジェスト版と挿絵です。たまに、私の与太話が入ります。 文も挿絵もChatGPTが作っています。 よかったら ★nice! をポチット押してね。
八五郎は、酒に溺れては家に金も入れず、博打と喧嘩に明け暮れる日々。ついには堪忍袋の緒が切れた女房、おたかが三行半を突きつけ、幼い息子・亀吉を連れて実家へ帰ってしまう。「出てけ!」と言われたときの八っつぁんの負け惜しみと空元気、しかしその実、胸の奥ではポッカリと大きな穴が開いたような淋しさを感じてい... 続きをみる
昔、ちょうふく山のふもとの村に、あるおばあさんが住んでいました。ある日、町へ織った布を売りに行こうと山道を越えていると、山の途中で突然天気が悪くなり、雷雨に見舞われます。困ったおばあさんが雨宿りできる場所を探していると、奥深い林の中に一軒の古びた家を見つけます。そこで「もしや…&he... 続きをみる
ある冬の日のこと。貧しい長屋に住む八五郎(はちごろう)、体調を崩した幼い娘のために何か滋養のあるものをと、町中を歩き回る。寒空の下、売り声が聞こえてきた。「みかん、みかん〜」と威勢のいい声。娘が蜜柑を食べたがっていたのを思い出し、懐の小銭を握りしめて、八百屋の露店に立ち寄る。 だが、手持ちの銭では... 続きをみる
昔、貧しいが心の優しいおじいさんと、おばあさんが山里に住んでいました。ある冬の日、おじいさんは山へ薪を取りに行きましたが、大雪で道に迷ってしまいます。寒さに震えていると、ふと目の前に古びた地蔵さまが現れました。おじいさんはその地蔵に「助けてください」と手を合わせ、しばらくそばに座って雪をしのぎまし... 続きをみる
江戸の町に、盆と正月だけ奉公人が休みをもらって実家に帰る「藪入り」の風習あり。ある長屋、堅気な職人の父親と、口数の少ない母親のもとへ、久々に一人息子・亀吉が帰ってくる。町の連中も「亀坊が帰ってくる日か」と噂するほど、親の喜びようはひとしおで、前の晩から母親は赤飯を炊き、父親は風呂を焚いて待ちわびて... 続きをみる
むかし、ある村に年老いた夫婦がいた。ふたりは貧しいながらも仲睦まじく暮らしていたが、子どもがいないのが長年の悩みだった。ある日、婆さまが垢(あか)だらけの体を洗いながら、「この垢で子ができたらいいのに」とつぶやいた。すると、その垢から人の形をした赤ん坊が現れた。「おお、こりゃ力太郎じゃ!」と名づけ... 続きをみる
江戸の町の裏手に、ひっそりと佇む一軒の剣術指南所があった。看板には「一刀流指南」とあり、師範の政五郎(まさごろう)は齢五十を越すが、今も竹刀の音高らかに稽古をつけていた。腕は確かと評判ながら、最近は門弟も少なく、ひとりの若者が通うのみ。町人たちは「もう時代じゃねえ」と囁くも、政五郎は黙々と日々を鍛... 続きをみる
むかし、山奥の村に、大きな淵(ふち)がありました。村人たちは「龍の淵」と呼び、決して近づきませんでした。というのも、その淵には、龍が棲んでいるという古い言い伝えがあったからです。ある年の夏、淵のそばの田んぼで農作業をしていた若者が、ふと水面に美しい光を見つけました。それはまるで龍の鱗のように、きら... 続きをみる
江戸の町、酒好きで知られる八五郎が、長屋仲間に「おれは酒にめっぽう強い」と吹聴する。誰もが「八っつぁんはのめる(=呑める)」と太鼓判を押すほどの酒豪だ。ある日、ご隠居が「本当にどれだけ呑めるのか、一度試してみたいもんだねぇ」と呟いたのがきっかけで、皆の前で“のめる”実力を披... 続きをみる
昔々、京の町の外れに、**牛若丸(うしわかまる)という美しい少年がいました。牛若丸は、亡き父の志を胸に、山深い鞍馬寺で修行の日々を送っていました。ある晩、山の杉林で剣の稽古に励んでいると、赤ら顔に長い鼻の大天狗(だいてんぐ)**が現れ、「お前に秘剣を授けよう」と告げます。こうして、牛若丸は空を飛ぶ... 続きをみる
江戸の町、浅草の裏長屋に住む与兵衛(よへえ)は、年の頃は四十手前、独り身で、毎朝ていねいに髭(ひげ)を整えるのが日課という、ちょいと小粋な男である。町内では「髭の与兵衛」として親しまれ、子どもたちにも慕われていた。そんな彼に、ご隠居が声をかけた。 「与兵衛さん、その髭、どうしてそんなに見事なんで?... 続きをみる
昔々、貧しいが心優しい男が村に住んでいた。元旦の夜、男は枕の下に七福神の絵を敷いて眠ると、不思議な夢を見た。夢の中で白い着物を着た老人が現れ、「江戸の橋のたもとに行け。そこで運を得る」と告げた。目覚めた男は、その夢をただの寝言とは思わず、さっそく旅の支度を始めた。 男は江戸へ向かい、橋のたもとに立... 続きをみる
10.古今亭志ん朝(ここんていしんちょう)「3代目」 生年月日:昭和13年(1938年)3月10日 没年月日:平成13年(2001年)10月1日 享年:64歳 古今亭志ん朝(ここんてい しんちょう)三代目は、昭和・平成を代表する江戸落語の名人で、本名は美濃部強次。父は昭和の大名人・古今亭志ん生。明... 続きをみる
昔々、ある村に、年老いた人々を捨てなければならぬという悲しい掟がありました。村では口減らしのため、六十を超えた親は山へ捨てられる運命でした。 ある日、素朴な心を持つ一人の青年が、病を抱える年老いた母を背負い、涙ながらに山道を登っていきました。母は道中、「ここを右に曲がると村に戻れる」とか「この木を... 続きをみる
八五郎の女房・おとよが、最近どうにも様子がおかしい。ふとんを並べても背を向け、口も利かない。八五郎は困り果て、長屋のご隠居に相談に行く。ご隠居は「女というものは火のようなもの」と説き、おとよの心の内を探るよう諭す。そしてこう助言する――「まずは気持ちを確かめてみなされ」と。江戸の裏長屋、ご隠居の知... 続きをみる
むかしむかし、ある村に正直者の男が住んでいた。貧しくとも愚痴ひとつ言わず、毎日コツコツ働いて暮らしていた。ある晩、男の家に奇妙な客が現れる。それは「貧乏神」と名乗るやせ細った男だった。 「ここに居候させてくれ」と頼まれた男は、あっさりと了承し、「お前も腹が減っておるのか、まあ食っていけ」と笑って団... 続きをみる
江戸の町は春の宵、町角に立つは長屋住まいの八五郎(はちごろう)。日がな一日を無為に過ごし、のんびり鼻をほじっていたところを、向こうからふらりと現れたのは、隣町で評判の物知りご隠居。 「おう八、何をしてる?」 「へい、ちょいと…鼻でもいじっておりました」 江戸の市井に生きる男の、なんと... 続きをみる
昔、ある旅の僧が山の中を歩いていると、夕暮れにさしかかり、あたりはすっかり暗くなってしまった。仕方なく森の中で夜を明かすことにした僧は、大きな木の根元に腰を下ろし、風をしのいでいた。すると、木の上から奇妙な声が聞こえてくる。「今日の坊主は太ってるぞ」「今夜はうまそうだな」。その声は、木の上に集まっ... 続きをみる
江戸の長屋裏にある賭場では、博打打ちたちがひしめき合っていた。丁か半か、サイコロの音が夜の静けさに響く。そんな中、ある若者が現れ、最初の勝負で見事に「一目上がり(出目が一で勝ち)」を決める。「こりゃ縁起がいい」と周囲も盛り上がり、彼は次々と勝ちを重ねていく。 若者は日を重ねるごとに勝ち続け、「一目... 続きをみる
昔々、ある老夫婦が「子どもがほしい」と毎日神に祈っていたところ、ついに願いが叶い、指ほどの小さな男の子が生まれた。「一寸法師(いっすんぼうし)」と名づけられたその子は、背は小さいが心は立派。成長してやがて、「都に行って侍になりたい」と願い、お椀の船に針の刀、箸の櫂を持ち、川を下って都を目指す。 や... 続きをみる
ある町の裏店に住む若い娘、およしは、毎朝欠かさず庭に咲く蕣(あさがお)を眺めるのを楽しみにしていた。短命なその花を愛おしみ、夜明けとともに起きては、咲いたばかりの花に声をかけ、水をやっては手を合わせていた。その姿は、近所の者の目にも「風流な娘」と映っていた。 ある日、裏長屋の表に住む職人・新八がふ... 続きをみる
昔、貧しいけれど心のやさしい若者がいた。ある日、観音様にお参りしたところ、「最初に手にしたものを大切に持って歩け」とお告げを受ける。寺を出た彼の手に、たまたま一本の「わらしべ(藁のしべ)」があった。 歩く途中、赤子をあやすために藁のしべを欲しがった女に渡すと、お礼にミカンをもらう。そのミカンは、喉... 続きをみる
江戸の町にて、旅の噺好きが耳にしたのは、"嘘しか言わぬ村"があるとの話。その名も「うそつき村」。興味津々、男は早速そこへ向かうこととした。道中、旅籠の亭主や道端の百姓らも口を揃えて「あの村の連中は、嘘しかつかん」と言う。道を進むうち、男の胸は高鳴り、目の前に現れたのは、どこかの... 続きをみる
浦島太郎(うらしまたろう)は、心やさしい漁師の青年。ある日、村の浜辺で、子どもたちが一匹の小さな亀をいじめているのを見つけた。「かわいそうに」と浦島は子どもたちをたしなめ、亀を助けて海へ逃がしてやった。穏やかな波の向こうへ泳ぎ去る亀を、浦島は優しい目で見送った。 数日後、海で漁をしている浦島の前に... 続きをみる
江戸は下町、夕暮れどき。ある商家に、ちょいとばかしとろい娘がおりまして、近所の者は「いい娘だけど、ちとぬけてる」と噂していた。年頃も過ぎたが、見合いの話は来ては立ち消え。親も頭を悩ませていた。 ある日、町内で火事があり、人々は大騒ぎ。娘は「火事だ!火事だ!」と叫びながら、店先にあった大福帳を抱えて... 続きをみる
昔々、あるところに仲の良い兄弟が住んでいました。しかし、あるとき兄は欲深くなり、弟の持ち物を取り上げ、弟を家から追い出してしまいました。弟は何も持たずに、貧しい生活を余儀なくされますが、心の優しい男でした。 ある日、弟は山で困っている老人を助けました。老人はそのお礼に「塩をふき出す不思議なうす」を... 続きをみる
7.桂米朝(かつらべいちょう)「3代目」 生年月日:昭和2年(1927年)11月6日 没年月日:平成27年(2015年)3月19日 享年:87歳 桂米朝(かつらべいちょう)3代目は、上方落語を代表する名人で、本名は中川清(なかがわ きよし)。昭和戦後の荒廃期から、上方落語の復興に尽力し、多くの古典... 続きをみる
むかしむかし、ある村に心優しいおじいさんとおばあさんが住んでいました。ふたりは貧しいながらも仲良く暮らし、周囲の生き物にも分け隔てなく愛情を注いでいました。ある日、一匹の白い犬がやってきて、老夫婦に懐きます。ふたりはこの犬を「シロ」と名づけ、まるで子どものように大切に育てました。 ある日、シロが庭... 続きをみる
町内に住む碁好きの隠居が、今日も暇を持て余しつつ、誰か相手が来ないかと待っていた。そこへ現れたのが、見慣れぬ若者。物腰柔らかで、碁も少々打てるというので、さっそく対局が始まる。だがこの若者、素人を装いながらも、じつはかなりの腕前。隠居はまったく歯が立たず、連戦連敗で悔しがる。 それでも勝てぬとなる... 続きをみる
昔、竹取の翁(おきな)が山で竹を取っていたところ、不思議に光る竹を見つける。切ってみると、なんと中から小さな女の子が現れた。翁は驚きつつも喜び、女の子を連れて帰り、妻とともに育てることに。やがて娘は美しい少女へと成長し、「かぐや姫」と名づけられた。 かぐや姫の美しさは都中に広まり、多くの貴族が求婚... 続きをみる
時は江戸の町暮れどき、辻々には提灯の灯がゆらめく頃。ある浪人が、世の荒波にもまれつつ、食うや食わずの暮らしをしておった。武士の誇りを胸に抱きながらも、刀を売り、酒に頼り、今や路地裏の長屋暮らし。隣近所も、物静かなその浪人を、どこか気の毒に思いながら、遠巻きに見ていた。 そんな折、長屋の婆さまが風邪... 続きをみる
昔々、ある山のふもとの森に、雀(すずめ)、キツツキ、**山鳩(やまばと)**の三羽が仲良く暮らしていました。ある日、「どこかに住むのにちょうどいい場所はないかな」と話し合い、三羽はそれぞれ家を建てることにします。 まずキツツキが、「木を叩くのは得意だぞ」と言って、一生懸命木の中をくりぬいて立派な巣... 続きをみる
江戸の町に住む町人の男、ある日ふとしたきっかけで一匹の犬と出会う。どうやらこの犬、大阪・鴻池の大店から迷い出てきたらしい。首に巻かれた札に「届けてくれた者には礼金三両」とある。男は目を輝かせ、「こりゃひと稼ぎになる」と意気揚々と犬を連れて旅に出る決意をする。 江戸から大阪までは遠路の道中。男は犬と... 続きをみる
むかしむかし、ある村に年老いた母と、その一人息子が住んでおりました。ところがこの息子、生まれながらにして人間ではなく、なんと**たにし(田螺)**の姿をしていたのです。母は驚きながらも、「どんな姿でもわが子に変わりはない」と、毎日大事に育てました。 ある日、たにしの子は「おらも、嫁っこがほしい」と... 続きをみる
ある晩のこと、江戸の裏町。若い男が、暗がりの道をふらりと歩いていた。ちょうど町の辻にさしかかると、向こうから提灯の明かりが近づいてくる。「おや、誰か来るな」と男は立ち止まり、様子を見る。 その提灯を持っていたのは、隣町で評判の乱暴者・権六。喧嘩早くて、ひとたび怒らせれば手がつけられぬ。男は身を引こ... 続きをみる
むかしむかし、雪深い村に一人の若者が住んでいました。ある寒い日のこと、山道で罠にかかった一羽の鶴を見つけます。羽は血に染まり、今にも命絶えんばかり。若者は「こんな寒さでは死んでしまう」と言い、罠を外して鶴を放してやりました。鶴は一度こちらを見つめると、空高く飛び去っていきました。 数日後、吹雪の夜... 続きをみる
正月も明けて、江戸の町はのどかな陽気に包まれていた。ある町内のご隠居、ひと息ついて茶をすするところへ、ふらりと息子・金坊(きんぼう)が現れる。「なァ、ご隠居、初天神に連れてってよ」。ご隠居、ひとしきり渋るものの、孫に甘くては敵わない。「わかった、行こう。ただし、今日は“何も買わぬ&rd... 続きをみる
昔むかし、ある山里に「天福(てんぷく)」という名の、やさしく気立てのよい男が住んでおった。天福は貧しいながらも正直者で、山の薪を拾っては町で売り、母とふたりでつましく暮らしていた。ある日、山道で迷った旅の僧に出会い、持っていた団子を差し出し、道案内までしてやった。僧は深く感謝し、「よいことがあるじ... 続きをみる
夜も更け、長屋の一軒に泥棒が忍び込んだ。家主は目を覚ますが、寝たふりをして様子を窺う。部屋の隅でごそごそ音がする。「さて、何を盗ってゆくやら」と心で思いながら、家主はそっと耳を澄ませる。 ところが、盗人は戸棚や箪笥を探っても、何も見つからぬ様子。ため息まじりに「こりゃ貧乏長屋もいいとこだ」とぼやく... 続きをみる
むかしむかし、ある山里に心優しいおじいさんとおばあさんが住んでいました。 ある日、おじいさんは畑を荒らすタヌキを捕まえます。「悪さばかりするんじゃない」と注意し、家へ持ち帰ります。 おじいさんはタヌキを縄で縛り、「後で山へ返してやろう」と言い残して山仕事へ向かいます。 ところがタヌキは油断したおば... 続きをみる
4.桂三木助(かつらみきすけ)「3代目」 生年月日:大正12年(1923年)7月9日 没年月日:昭和58年(1983年)1月14日 享年:59歳 三代目桂三木助(かつら みきすけ)は、東京出身の名人落語家で、江戸落語の正統を継ぐ実力派。初代三木助の孫弟子で、五代目古今亭志ん生に入門、のちに三代目三... 続きをみる
むかしむかし、とある村に働かずに三年もの間、寝続けている若者がいた。「寝太郎(ねたろう)」と呼ばれるその男は、毎日ひたすら布団の中でゴロゴロしているだけ。村人たちは「あれじゃ、何の役にも立たん」と呆れ果てていた。働き者の親も心配したが、寝太郎はただニコニコ笑って眠り続けるばかりで、起きる気配すらな... 続きをみる
長屋の若い男が、兄貴分の忠告を受けるところから始まる。「これからは人とのつきあいを大事にせにゃならねぇ。その第一歩が“ほめる”ってぇもんさ」――と、兄貴は語る。ちょうど近所のご隠居が飼ってる立派な牛を見て、「あの牛をうまくほめて、話しかけてみな」と指南する。若者はうなずき、... 続きをみる
むかしむかし、山里に一人の貧しい男が暮らしていました。薪を割って売っては、わずかな銭を得るだけの暮らし。着るものも粗末で、毎日の食事もままなりません。それでも男は明るく、「いつか大きな幸せが訪れる」と信じていました。ある晩、男はふしぎな夢を見ます。夢の中で、立派な屋敷に住み、庭に咲く花を愛でながら... 続きをみる
ある日、江戸の町に住む熊五郎という男が、長屋の裏手で日向ぼっこをしていた。そこへ通りがかった隠居が、「この世は儚いもんだ」とつぶやいたのがきっかけで、熊五郎の胸に仏道の種が芽生える。 「そうさなァ、俺もそろそろ悟りの道ってやつを考えてみるか」と、俄かに道心を起こした熊五郎は、急に酒も博打もやめると... 続きをみる
昔むかし、山奥の村に、薪を取って暮らす茂作(もさく)と巳之吉(みのきち)という親子がいた。ある年の冬、二人は山小屋に泊まり、吹雪を避けることになった。夜半、恐ろしいほどの風雪の中、扉が音もなく開き、そこへ真っ白な着物をまとい、青白い顔をした美しい女が現れた。 彼女は茂作の枕元に立ち、吐息ひとつで彼... 続きをみる
ある日、江戸の寺に居候している一人の若い坊主が、街道筋のこんにゃく屋に立ち寄る。商いの合間にちょいと一休みと、坊主と世間話に花が咲くうち、話題は仏教に。「仏とは何か?」とふざけて尋ねたこんにゃく屋に、坊主は気の利いた答えも出せず、赤っ恥。周囲に笑われ、「坊主のくせに問答もできねえとは」と冷やかされ... 続きをみる
むかしむかし、ある冬の日。あたり一面は雪に覆われ、冷たい風が吹きつける季節のこと。お腹を空かせたキツネが、とぼとぼと雪道を歩いていると、向こうからやってきたサルに声をかけられます。 「おい、キツネや。魚が食いたいなら、いい方法があるぞ」 サルはニヤニヤ笑いながら、川の氷に穴をあけて、しっぽを入れて... 続きをみる
春の夕暮れ、長屋の裏手で近所の子どもたちが手鞠(てまり)遊びに興じていた。歌に合わせてぽんぽんと鞠が弾み、笑い声が路地に響く。そこへ通りかかったのは、隣町のご隠居。子どもらの様子を微笑ましく見守るも、ふと一つの鞠が転がって彼の足元へ。 ご隠居、器用にその鞠を手に取り、子どもたちに返すかと思いきや、... 続きをみる
むかしむかし、ある村に、ずぼらで怠け者な嫁が住んでいた。ある日、姑に言われて豆を煮ることになったが、ついウトウトして火加減を忘れてしまい、鍋の中の豆が煮えすぎて、豆つぶたちは勢いよく鍋から飛び出してしまった。「こりゃたまらん!」と豆つぶたちは叫び、ころころと転がって台所から外へと逃げていった。 こ... 続きをみる
昔、江戸の町に「しわい屋(しつこい性格の男)」とあだ名される商人がいた。何事につけても細かく、ケチで、くどい。商売相手を何度も値切り、交渉に時間をかけ、挙げ句には「少しでも得をせねば損」と信じて疑わぬ頑固者。周囲の者は相手をするのも疲れる始末。そんなある日、このしわい屋が、町内の馴染みの植木屋に声... 続きをみる
むかしむかし、あるところに、仲睦まじく暮らすおじいさんとおばあさんがおりました。おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に出かける、そんな穏やかな日々。ある日、おばあさんが川で洗濯をしていると、「どんぶらこ、どんぶらこ」と流れてくる大きな桃を見つけました。「まあ、なんと大きな桃じゃこと!」と... 続きをみる
ある日、長屋の男・茂兵衛が、懐から見事な革の煙草入れを取り出した。細工も見事、金具も上等。隣人の徳さんが「おい茂さん、それは粋な一品だねえ」と感心する。茂兵衛、鼻を高くして「ええ、吉原帰りにふと見つけてね、つい衝動買いで」と得意気に語る。 ところがそれを見た熊五郎が、「へぇ、いいもん持ってるじゃね... 続きをみる
昔々、ある村に、火を操る力を持った不思議な男が住んでいました。その男は「火男」と呼ばれ、彼が現れると、どんな寒い日でも周囲が暖かくなり、火を使って村人たちを助けていました。最初はその力をありがたく思っていた村人たちも、次第に火男が自分の思い通りに火を使い始めたことを恐れるようになります。 ある日、... 続きをみる
1.桂歌丸(かつらうたまる)「8代目」 生年月日:昭和11年(1936年)8月14日 没年月日:平成30年(2018年)7月2日 享年:81歳 横浜市中区真金町の生まれ。初名は椎名巌(しいな いわお)。幼少より芸に親しみ、昭和26年、五代目古今亭今輔に入門し「古今亭今児」を名乗る。のち、桂米丸門下... 続きをみる
むかしむかし、ある寺に住む和尚さまが、山で傷ついたタヌキを見つけました。和尚さまはそのタヌキを寺に連れて帰り、手当てをしてやります。タヌキはやがて元気になり、恩返しがしたいと強く思いました。 タヌキはある日、寺に古くなった茶釜があるのを見つけ、「自分が化けて芸をすれば、お金が手に入るかもしれぬ」と... 続きをみる
江戸の町はずれ、貧しいが気のいい八人の男たちが長屋に暮らしていた。ある日、その中の一人が「法華経(ほけきょう)」の信仰を始め、講(こう)という集まりに通い出す。講では信仰のありがたさを説く一方、参加者には白飯と煮しめが振る舞われるという話に、長屋中の者たちが目を輝かせた。「飯にありつけるなら、拝ん... 続きをみる
昔々、芸で身を立てる若者「たのきゅう」という旅芸人がおりました。彼は村から村へと旅をしながら、人々に唄や踊りを披露し、食べ物や宿を恵んでもらっていました。顔には笑顔を絶やさず、どこへ行っても人気者でした。 ある日、山道を歩いていると、急に大きな狸が姿を現しました。「お主、芸ができるそうじゃな。わし... 続きをみる
ある日、浅草の縁日帰りの道すがら、町人の熊五郎と八公が、厩(うまや)の前を通りかかる。そこには、一頭の牛と、一頭の馬が並んでつながれていた。牛はおっとりとした目で黙って草をはみ、馬はそわそわと足を動かし、鼻息荒く辺りを見渡している。 熊五郎がふと、「おい八、牛と馬、どっちが賢いと思う?」と聞く。八... 続きをみる
昔、働き者のカニが道でおにぎりを見つけました。そこへずる賢いサルがやってきて、「柿の種をあげるから交換しよう」と言います。カニは迷った末に交換を承諾。家に帰って種をまくと、やがて芽が出て大きな柿の木に育ちました。 秋になり柿の実がたくさん実りました。木に登れないカニはサルに収穫を頼みます。サルは木... 続きをみる
ある冬の夜更け、江戸の町。男が屋台の蕎麦屋に近づき、「そば、ひとつくんな」と声をかける。寒さもあってか、屋台の湯気がありがたく感じられる。蕎麦屋は「へい、いらっしゃい」と応じ、男にそばを出す。男は器用にすすりながら、実にうまそうに食べる。周囲の人間も思わず見とれるほどの食べっぷりだ。 そばを食べ終... 続きをみる
むかしむかし、心やさしいおじいさんと、意地悪なおばあさんが住んでおりました。 ある日、おじいさんはけがをした小さな雀を見つけ、家へ連れて帰って手当てをしました。雀は日に日に元気になり、ちゅんちゅんと懐いて、まるで家族のようになっていきました。 ところがある日、おじいさんが留守の間に、雀が干してあっ... 続きをみる
ある町内に、子ども好きで評判の長屋の爺(じい)さんがいた。名は八兵衛。日がな一日、近所の子らに昔話を聞かせるのが日課で、とりわけ「桃太郎」の話は大人気。鬼ヶ島へ行くくだりでは、子どもたちも刀を振るまねをして大騒ぎ。「よっ、桃太郎!」なんて声も飛ぶ。八兵衛は得意げに話を続けるが、その内容は少々変わっ... 続きをみる
むかし、旅好きの若者がおりました。ある日、山道を歩いていると、見知らぬ茶屋がぽつんと立っており、美しい女主人がひとりで切り盛りしていました。若者はふと心を惹かれ、茶を所望します。女主人は静かに笑いながら、「これを被れば、どこでも自由に行けましょう」と、一枚の頭巾を若者に手渡します。それは、姿を隠し... 続きをみる
旦那衆の中でも、義太夫好きで知られる呉服屋の旦那。ある日、番頭や手代たちを座敷に呼びつけ、「今晩は義太夫を一席聴かせる」と高らかに宣言する。商売の話かと思いきや、義太夫の披露。だが、使用人たちは気が重い。なにせ旦那の義太夫は、音程は外れ、節回しも乱れ、耳にするのが苦痛なほど。「またあの『寝床』か&... 続きをみる
昔々、雪深い山里に、心優しいおじいさんとおばあさんが暮らしていました。ふたりはとても貧しく、年の瀬が迫っても正月の準備もままなりません。 ある朝、おじいさんは「少しでも銭に替えられれば」と、家にあった手作りの笠を六つ持って町へ売りに出かけます。 町では誰も笠を買ってくれず、おじいさんはがっかりして... 続きをみる
ある日のこと、深川あたりに住む商人の男が、久々に江戸の親戚を訪ねることとなった。手土産には名物の「鹿の子餅(かのこもち)」を選ぶ。艶やかでつやつやとしたあずきの粒 が、鹿の子模様に似て見事な仕上がり。男は風呂敷に丁寧に包み、「これは見た目も味も上等、きっと喜ばれるにちがいない」と意気揚々と出かけた... 続きをみる
むかしむかし、ある山里に、優しく働き者のおじいさんがいました。顔に大きなこぶがありましたが、誰に対してもにこやかで、村人にも慕われていました。ある日、薪を取りに山へ入り、夢中になっているうちに日が暮れてしまい、道に迷ってしまいます。木々のざわめきに囲まれた山中、ひとりたたずむおじいさんは、心細げに... 続きをみる