語り継ぐこころ/日本おとぎ噺・江戸小咄・古典落語・笑いの匠たち

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『宮沢賢治・光と風の物語』第十九回「北守将軍と三人兄弟の医者」第4話 馬医リンプー先生の治療/6話

100えんメガネ

リンプーは、将軍ソンバーユーが乗って帰った軍馬を診察した。馬は息が荒く、足元もふらついていたが、傷や骨には大きな異常がない。リンプーは耳を澄ませて呼吸を聞き、口の中や蹄、鞍の下まで丁寧に調べた。将軍と馬が同じころから弱っていることに、不思議なつながりを感じた。



リンプーは、馬の飼葉と水を調べるよう命じた。兵士が持ってきた干し草には、見慣れない黒い粉が付着し、水桶からはわずかに苦いにおいがした。北方からの長旅で馬が口にした草や水に、体を弱らせる原因があるらしい。リンプーは馬に新しい水を与え、古い飼葉をすべて取り除かせた。



リンプーは薬草を煎じ、馬の体力を戻す薬を少しずつ飲ませた。そして温めた布で脚を包み、背や腹を静かにさすった。しばらくすると、馬は大きく息を吐き、震えていた脚でしっかり立ち始めた。しかしリンプーは、馬だけを治しても原因を絶たなければ、将軍の病も都の異変も終わらないと考えた。



回復した軍馬は、リンプーの手に鼻先を寄せ、静かにいなないた。王や兵士たちは治療の腕に感心したが、リンプーは黒い粉の付いた草を示し、「病の根は馬の体ではなく、北方の土地にあるかもしれません」と告げた。三兄弟は、次に草木医リンポーの力で、草と土の異変を詳しく調べることにした。