『宮沢賢治・光と風の物語』第十九回「北守将軍と三人兄弟の医者」第3話 リンパー先生の診察/6話
北の戦から帰還した将軍ソンバーユーは、宮殿へ入るなり激しい熱と胸の苦しみを訴え、寝台に横たわった。王は三人兄弟を呼び寄せ、まず人を診る長兄リンパーに診察を命じた。リンパーは静かに将軍のそばへ座り、顔色と呼吸を確かめた。

リンパーは将軍の脈を丁寧に取り、目や舌の色、傷の有無を調べた。しかし、高熱のわりに脈の乱れは小さく、普通の病とは様子が違っていた。将軍は北の荒野で冷たい雨に打たれ、帰途から体が重くなったと話した。リンパーは薬草を煎じ、まず熱を鎮めようとした。

薬を飲んでも将軍の熱は下がらず、夜になると苦しそうな声を上げた。リンパーは何度も診察したが、人の体だけを見ていては原因に届かないと気づく。将軍が乗って帰った愛馬も同じころ弱り、鎧に付いていた北国の草まで枯れ始めていると聞いたからである。

リンパーは王に、「これは将軍一人の病ではなく、馬や草木にも関わる異変かもしれません」と告げた。そして、獣医のリンプーと草木医のリンポーに力を貸してほしいと頼んだ。三人は互いにうなずき、人・獣・草木を一つにつないで病の原因を探すことになった。

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