33.『江戸小咄』「料理指南所(りょうりしなんどころ)」
江戸は深川、裏長屋に住む与太郎が、ある日ぽつりと言った。 「オレぁ、剣術や読み書きはからっきしだが、味噌汁なら任せとけ」 近所の者たちは笑ったが、与太郎は本気だという。 「毎朝、味噌の加減で天気も気分もわかるんだ。ちと指南所でも開くかねぇ」 そんな与太郎の思いつきから、「料理指南所」が始まることに... 続きをみる
語り継ぐこころ/日本おとぎ噺・江戸小咄・古典落語・笑いの匠たち
日本おとぎ噺・江戸小咄、古典落語・笑いの匠たちのダイジェスト版と挿絵です。たまに、私の与太話が入ります。 文も挿絵もChatGPTが作っています。 よかったら ★nice! をポチット押してね。
江戸は深川、裏長屋に住む与太郎が、ある日ぽつりと言った。 「オレぁ、剣術や読み書きはからっきしだが、味噌汁なら任せとけ」 近所の者たちは笑ったが、与太郎は本気だという。 「毎朝、味噌の加減で天気も気分もわかるんだ。ちと指南所でも開くかねぇ」 そんな与太郎の思いつきから、「料理指南所」が始まることに... 続きをみる
ある漁村の沖では、夜な夜な「船幽霊」と呼ばれる化け物が出ると噂されていた。満月の晩、村の若い漁師・藤吉(とうきち)は、ひとり沖に舟を出した。海は静かで波も穏やかだったが、ふと背後に気配を感じる。振り返ると、舟のへりに白装束の女が立ち、こちらをじっと見つめていた。女は濡れた髪を垂らし、手には柄杓(ひ... 続きをみる
ある年、イーハトーブはこれまでにない厳しい寒さに襲われた。このままでは作物が実らず、大勢の人々が飢える恐れがあった。火山局では、海上の火山島を大きく活動させ、噴き出すガスによって気候を暖める計画が検討された。しかし、最後の作業を行う者は、島から戻れない可能性が高かった。 危険な役目を誰が引き受ける... 続きをみる
江戸の町に住む年老いた男、町内でも評判の長寿者。顔には深い皺、髪は真っ白だが背筋はしゃんとしており、町の人々からは「ご隠居」と呼ばれて親しまれている。ある日、若い男が興味本位で声をかけた。「ご隠居さま、どうしたらそんなに長生きできるんで?」と。するとご隠居、頷きながらこう語り出す。「それはな、ある... 続きをみる
昔、ある村に「市蔵(いちぞう)」という男がいた。乱暴者で人を殴る蹴る、盗みも平気、誰にも迷惑をかけてばかり。やがて市蔵は大酒の末に命を落としたが、善行一つない彼の魂は、真っ逆さまに地獄へ落ちてしまった。 市蔵は、地獄の門をくぐるとすぐに、閻魔大王の前に引き出された。だが反省の色はなく、「うるせぇジ... 続きをみる
クーボー大博士の紹介で火山局を訪れたブドリは、局長のペンネン老技師に迎えられた。火山局では、各地の火山を観測し、噴火や地震から町や農地を守る仕事をしていた。ブドリは学校で学んだ知識を役立てたいと願い、観測機械の扱いや地質の調査方法を熱心に覚え始めた。 ブドリは技師たちと飛行船に乗り、火山の上空や山... 続きをみる
ある夏の盛り、江戸の町を「ほうろく、ほうろく~」と売り歩く男がいた。ほうろく(焙烙)は、素焼きの土鍋で、火を使わず頭にかぶれば暑気払いになるという江戸の知恵。男は暑さにふうふう言いながらも、道ゆく人々に声をかけていた。「ほうろくひとつで涼しくなる、命が助かる一品でござんす!」 だが、なかなか売れぬ... 続きをみる
むかし、ある町の飴屋に、夜更けになると一人の女がやって来て、一文銭を出しては「飴をひとつください」と頼んだ。不思議なのは、いつも同じ着物で、顔色も青白く、生気が感じられないことだった。女は飴を受け取ると、静かに町の裏手の古寺の方へと消えていく。店の主人は気味悪く思いながらも、毎晩飴を売り続けた。 ... 続きをみる
赤ひげの主人と別れたブドリは、汽車に乗ってイーハトーヴ市へ向かった。農民たちを苦しめる冷害や旱魃を防ぐ方法を学ぶため、長年、本で親しんできたクーボー大博士を訪ねようと決意したのである。初めて見る大都会の騒音や自動車に戸惑いながら、夕方近く、ようやく古びた白い校舎を探し当てた。 校舎の二階では、背の... 続きをみる
浅草の商い通り、今日も人波でにぎわっておりやす。なかでもひときわ賑やかな声がするのは、新参者の荒物屋。店先には“本日限り! 大安売り!”の大きな札がひらひら。若い店主が威勢よく声を張り上げ、桶だの笊(ざる)だの、何でも五文、十文で売ると聞いて、町内の婆さま方が群がっておりや... 続きをみる
昔むかし、ある山里に「猿神(さるがみ)」と恐れられる巨大な猿が棲んでいた。その猿神は毎年、村に若い娘を一人差し出すように命じ、人々は恐怖におののきながら従っていた。今年もまた、くじで選ばれた娘が猿神のもとへ捧げられることになり、村中が涙にくれていた。 そこへ旅の若者が通りかかり、事情を知って怒りを... 続きをみる
新しい働き口を探して旅を続けたブドリは、広い沼ばたけを持つ赤ひげの主人に出会った。主人はぶっきらぼうながら働き手を求めており、ブドリを農場に置くことにした。ブドリは住む場所と食事を与えられ、今度こそ自分の力で暮らしていこうと懸命に働き始めた。 ブドリの仕事は、沼の水をくみ出し、泥深い土地を耕して作... 続きをみる
春の陽気な日和、上野の山では花見客でにぎわっていた。町人たちも晴れ着に身を包み、酒肴を広げて浮かれるなか、一人の浪人がぼろぼろの羽織をまとい、無言で人波をかき分けて歩いていた。肩には古びた風呂敷包み、腰には刀一本。子供たちが「お侍だ」と囁くが、その顔つきはどこか冴えず、場にそぐわぬ寂しさをまとって... 続きをみる
昔々、ある山里に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。ふたりは畑仕事をして静かに暮らしていました。村人たちのあいだでは、山の奥の小川から「小豆(あずき)をとぐような音」が聞こえてくるという噂がありました。 「ザッ、ザッ…ザク、ザク…」と、夜になると聞こえてくるその音... 続きをみる
飢えが深まる森で、父は家族の食べ物を探すため家を出たまま戻らなかった。やがて母も、弱ったブドリと妹ネリを残し、吹雪の中へ姿を消してしまう。幼い二人は寒い家で身を寄せ合い、わずかな木の実を分けながら父母の帰りを待った。しかし森には風の音だけが響き、一家の穏やかな暮らしは失われてしまった。 ある日、見... 続きをみる
28.春風亭柳朝(しゅんぷうてい りゅうちょう) 「5代目」 生年月日昭和9年(1934 年)4月2日 没年月日平成10年(1998年)9月22日 享年:65歳 5代目・春風亭柳朝(しゅんぷうてい りゅうちょう)は、昭和・平成期に活躍した落語家で、江戸前の歯切れよい語り口と品のある佇まいで知られま... 続きをみる
むかし、ある村に働き者の若者がいた。貧しい暮らしをしながらも、毎日畑に出ては一生懸命に働いていた。寒い夜でも、古びたボロ布を体に巻いて寝るのが当たり前で、ふとんなど夢のまた夢であった。だがある晩、冷たい夜風に震えながら、「ああ、ふかふかのふとんで眠れたらなあ」と、ふとつぶやいた。 その夜、若者は不... 続きをみる
イーハトーブの山あいの森で、少年グスコーブドリは父、母、妹ネリと静かに暮らしていた。家のまわりには木々が茂り、畑では家族が力を合わせて働く。貧しくても、自然とともに生きる日々には、素朴な安心とぬくもりがあった。 ブドリは父に仕事を教わり、母やネリとともに慎ましく毎日を送った。鳥の声、風の匂い、畑の... 続きをみる
江戸のとある長屋に住む男がいた。酒好きで知られ、朝から晩まで飲んでは寝て、寝ては飲む暮らし。ところが、ある日を境にぴたりと酒を断ち、何やら神妙な面持ちで暮らすようになる。隣人や大家も驚き、「どうしたんだい、急に人が変わったように」と問いただすと、男はぽつりと語る。 「実はな、妙な夢を見たんだ。夢の... 続きをみる
昔、とある城下町に、誰も近づかない古い屋敷があった。夜になると、そこから三味線の音や笑い声が聞こえるというのだ。噂では「幽霊たちが酒盛りしている」とも言われ、人々は怖れていた。ある日、町にやってきた浪人風の侍が「幽霊など信じぬ」と豪語し、一晩その屋敷に泊まると言い出す。 夜更け、屋敷の中は静まり返... 続きをみる
三十匹のあまがえるは、虫たちに頼まれ、草の実や美しい石、苔を集めて、小さな花畑や庭を造っていた。朝の金色の光から夕暮れまで、風の中で歌い、声を掛け合って働く毎日は、忙しくても楽しいものだった。ある日、仕事帰りの一行は、桃の木の下に新しく開いた酒屋を見つける。 酒屋のとのさまがえるは、珍しい外国の酒... 続きをみる
ある日、長屋に住む浪人・宗兵衛(そうべえ)が、「町内で道場破りがあった」と聞きつける。近隣の若者たちが集まる小さな道場で、見知らぬ侍が突然現れ、師範に手合わせを挑んだというのだ。師範は応じたが、たちまち打ち負け、道場の看板まで持ち去られてしまった。浪人の血が騒いだ宗兵衛は、見物人たちの証言を頼りに... 続きをみる
昔、山奥の村に一人の猟師がおった。ある晩、山の沢で仕掛けを見回っていたところ、大きな岩魚(イワナ)を見つけた。あまりの大きさに驚きつつも、これはめったにない獲物と喜び、家へ持ち帰って焼いて食べようとする。だがその夜、猟師の家のまわりで不気味な足音がし、戸がガタガタと揺れ、恐ろしい唸り声が聞こえてく... 続きをみる
ある晩、少年の恭一は、ぞうりを履いて鉄道線路のそばを歩いていた。空には九日の月が浮かび、月光を含んだうろこ雲の間から、冷たい星が光っている。遠くの停車場には赤や紫の明かりがともり、夜の中に大きな城が立っているように見えた。静かな風と電線のうなりに包まれながら、恭一は不思議な夜道を進んでいった。 突... 続きをみる
江戸の下町、長屋暮らしの熊さんが浅草観音の帰りに、道端で倒れている死体に出くわす。よく見れば、それはどう見ても長屋の隣人・八五郎にそっくり。「これは一大事だ」と慌てた熊さんは、急いで長屋に戻り、大家を巻き込み「八っつぁんが死んでるぞ!」と騒ぎ立てる。大家も驚き、確認のために皆で浅草へ向かうことに。... 続きをみる
盲目の琵琶法師・芳一(ほういち)は、壇ノ浦の戦いを語る琵琶の名手として知られていた。彼が暮らしていたのは阿弥陀寺という寺で、日々琵琶を奏でながら静かに暮らしていた。ある晩、見知らぬ侍が芳一を訪ねてきて、「我が主が琵琶を聞きたい」と連れ出す。芳一は導かれるまま、侍に手を引かれ、豪奢な御殿のような場所... 続きをみる
五月の谷川。水底に暮らす二匹の蟹の子は、青白く揺れる水の光を見上げながら、「クラムボンは笑ったよ」「死んだよ」と不思議な話をしていた。泡は水銀のように流れ、日光の網が砂の上で揺れている。父蟹は、子どもたちの問いに静かに答え、川の中の穏やかな暮らしを見守っていた。 突然、青い光が水中を走り、一匹の魚... 続きをみる
ある日、町のご隠居が若い衆に話しかける。 「江戸にも名所ってぇのがいろいろあるが、さて、どこが一番粋だと思う?」 若い衆の与太郎が答える。 「そりゃぁ、吉原ですかねぇ。にぎやかで、花も咲いてて、夢のような所で――」 それを聞いて、ご隠居はふむと頷くも、眉をひそめる。 「そりゃまあ、華やかさはあるが... 続きをみる
江戸の町はずれ、深川に近い堀端の話。そこには「夜な夜な不思議な声が聞こえる」という噂が立っていた。 ある日、魚釣り好きの男がその堀へ出かけ、見事な鯉を釣り上げる。喜んで帰ろうとすると、突然、背後からしわがれた声が響いた。 「おいてけぇ……おいてけぇ…&he... 続きをみる
一郎のもとへ、山猫から「面倒な裁判があるので来てほしい」という不思議な葉書が届いた。翌朝、一郎は黄金色の風が渡る山道を進み、きのこや栗の木に道を尋ねながら、山猫の住む草原を目指す。やがて、奇妙な馬車別当と、立派な服を着た山猫に迎えられた。 草原には、たくさんのどんぐりが集まり、「自分こそ一番偉い」... 続きをみる
大阪から江戸に商売に来ている古道具屋の旦那は、留守にすることとなり、女房と手代の与太郎に店を任せることにした。女房は気丈でしっかり者だが、与太郎はというと、どこか抜けている上に物覚えも悪い。それでも一人では心許ないと、仕方なくこの与太郎を留守番に残す。 そこへ、大阪からの使いがやってくる。店先で「... 続きをみる
むかしむかし、天の神さまには、機織りが得意な美しい娘「織姫(おりひめ)」がいました。織姫は毎日、雲のようにふわりとした着物を織っては、天の神さまに仕えていました。娘の働きぶりを喜んだ神さまは、ある日、まじめで牛の世話に励む若者「彦星(ひこぼし)」を婿に迎えさせました。 織姫と彦星は結ばれると、うれ... 続きをみる
雪が固く凍った月夜、四郎とかん子は、雪の上を渡って森へ出かけた。二人が「堅雪かんこ、凍み雪しんこ」と歌いながら進むと、白い雪は青く光り、冷たい風が木々を鳴らした。森の入り口で、二人は白い狐の子、紺三郎と出会う。人間と狐は互いを怖がっていると聞いた二人は、自分たちは狐を疑わないと答えた。 紺三郎は、... 続きをみる
芝居町の路地裏、色町の花街では、芸者衆に囲まれて賑やかに立ち回る一人の男がおりました。名は彦三(ひこさ)、商売は牽頭持(たいこもち)。芸も口も達者で、座敷の場を和ませるその姿に、芸者も客も腹を抱えて笑うほど。 「粋な芸と気の利いた冗談、それがあっての夜の華よ」とは、町人の評判。 ある日、若旦那の連... 続きをみる
昔ある村に、貧しいながらも働き者で信心深い若者がいた。男は村はずれの古びた地蔵さまに、毎朝水を供え、米の飯をお供えして手を合わせていた。村の者は「そんなことしても腹はふくれぬぞ」と笑うが、男は「地蔵さまは見ておられる」と信じて疑わなかった。 ある年、村人たちは一斉に田植えを始めた。若者もせっせと田... 続きをみる
昔、岩手山の噴火で生まれた四つの黒い森に囲まれた野原へ、四人の百姓と家族が移り住んできた。百姓たちは森に向かい、畑を耕し、家を建て、火をたき、木をもらってよいかと尋ねる。森は「いいぞお」「ようし」と答えた。人々は丸太小屋を建て、森に守られながら新しい暮らしを始めた。 畑が実り始めた秋、四人の子ども... 続きをみる
25.春風亭一朝 生年月日昭和25年(1925 年)12月10日 没年月日 ご存命 本日 2026年7月19日現在 :75歳 春風亭一朝は、1968年(昭和43年)に五代目春風亭柳朝に入門し、1970年に前座名「朝太郎」として初高座を踏みました。1973年に二ツ目に昇進し、「一朝」と改名。1982... 続きをみる
昔、深い山奥に熊と狐が住んでおった。熊は大きな体でどっしり構え、正直でまじめな性格。対して狐はずる賢く、いつも知恵を働かせて楽をして暮らしていた。ある日、食べ物が乏しくなり、二匹は「一緒に食べ物を探そう」と相談する。熊は力仕事を、狐は見張りや策を担当すると決めたのだった。 ある日、熊が重い岩をどか... 続きをみる
オツベルの大きな農場では、多くの百姓が忙しく働いていた。そこへある日、真っ白な象が森から現れる。オツベルは驚きながらも、やさしい言葉で象を誘い、農場に置くことにした。象は人々と一緒に働けることを喜び、重い荷物を運び始める。明るい日差しの下、白い体は美しく輝いていた。 オツベルは次第に象へ無理な仕事... 続きをみる
江戸の町、火事と喧嘩は江戸の華。とりわけ火事には町人の血が騒ぐ。ある材木屋の若旦那・徳三郎は、その火事に取り憑かれたような男。火の手が上がれば、どこからともなく駆け出して行き、火消しのまねごとをする。店の者も親も手を焼くほどの“火事狂い”。折しも、そんな徳三郎に婿入りの話が... 続きをみる
むかしむかし、ある村に「さだ六」という心の優しい男が住んでいた。日々まじめに働いていたが、貧しく一人暮らし。そんな彼の唯一の友は、白い犬の「シロ」だった。シロは人懐っこく、いつもさだ六のそばにいて、畑仕事にもついてくる。村の人々も、二人を見てはほほえましく思っていた。 ある日、村で火事が起こる。さ... 続きをみる
よだかは、みにくい顔と弱々しい姿のため、ほかの鳥たちから嫌われていた。特に鷹は、名前に「たか」が入っているのが気に入らないと怒り、名を変えなければ命はないと脅す。よだかは争うこともできず、夕暮れの野原を飛びながら、自分はなぜこんな姿に生まれたのかと悲しんだ。冷たい風の中で、虫を食べて生きる自分の運... 続きをみる
年の瀬も迫ったある夜、長屋の八五郎が、珍しく寿司屋のカウンターに座っていた。 「へい、いらっしゃい。今日はずいぶん羽振りがよろしいじゃねぇか」 親方にそう冷やかされながらも、八五郎はすました顔で「海鼠腸(このわた)をひとつ」と頼む。 隣に座るご隠居が目を丸くして言った。 「へぇ、八、お前さん&ld... 続きをみる
むかし、とある山あいの村が、長い日照りで困っていた。田んぼは干上がり、作物は枯れ、人も家畜も水に飢えていた。村人たちは毎日、山の神に雨ごいをしていたが、一向に雨は降らなかった。ある日、村の古老が「この谷の池には河童(かっぱ)が住んでいる。河童が天に願えば、きっと雨を呼んでくれるはずじゃ」と言った。... 続きをみる
町の活動写真館で、ゴーシュは楽団のセロを弾いていた。しかし演奏は遅れ、音も乱れ、楽長から毎日のように叱られていた。十日後には大きな音楽会がある。ゴーシュは夜になると、水車小屋のような古い家へ帰り、一人で何度も練習した。窓の外には畑が広がり、月の光と夜風だけが、ぎこちない音を聞いていた。 ある晩、練... 続きをみる
江戸の町。町人の八五郎は、威勢がよくて口も達者だが、どうにも教養がないのが玉に瑕。ある日、隣の若旦那が詠んだ和歌を耳にし、「山吹の花」だの「七重八重」だのと聞いたことのない言葉が並び、ちんぷんかんぷん。だが、やせ我慢も江戸っ子の美徳、「なるほど、なかなか粋な詠みぶりで」とそれらしくうなずいてしまう... 続きをみる
ある山奥の村に、ずる賢くて怠け者の男が住んでいた。男は働かずに楽して暮らしたいと願い、毎日ゴロゴロしては文句ばかり言っていた。そんなある日、山の奥へキノコを採りに入った男は、偶然天狗たちの集会に出くわしてしまう。男は木の陰に隠れてその様子をこっそりと見ていた。天狗たちは、羽うちわで自在に風を起こし... 続きをみる
二人の若い紳士は、狩猟のため案内人と猟犬を連れ、深い山へ入った。しかし獲物は見つからず、猟犬も倒れ、案内人ともはぐれてしまう。冷たい風が吹く森をさまよううち、二人は「西洋料理店 山猫軒」と書かれた立派な建物を発見した。腹をすかせた二人は大喜びし、無料で食事ができる店だと思って、重い扉を開けた。 店... 続きをみる
長屋に住む与太郎(よたろう)が、ある日、しょんぼりと寝込んでしまった。 熱もなければ、咳も出ず、飯も喉を通らない。ただ天井を見つめてため息ばかりついている。 「どうしちまったんだい、風邪かね?」と心配する熊さんや八っつぁんに、与太郎はぽつりと答える。 「いや…なんだか胸がこう、きゅう... 続きをみる
むかしむかし、足柄山のふもとに、たくましい赤い腹掛けをした男の子・金太郎が、お母さんと二人きりで暮らしておりました。父を早くに亡くし、母の手で育てられた金太郎は、山の動物たちと友だちになり、日々、相撲や綱引き、丸太割りなどで力くらべをして遊んでおりました。 ある日、大雨で大きな木が川に倒れ、橋が流... 続きをみる