『宮沢賢治・光と風の物語』第八回「雪渡り」
雪が固く凍った月夜、四郎とかん子は、雪の上を渡って森へ出かけた。二人が「堅雪かんこ、凍み雪しんこ」と歌いながら進むと、白い雪は青く光り、冷たい風が木々を鳴らした。森の入り口で、二人は白い狐の子、紺三郎と出会う。人間と狐は互いを怖がっていると聞いた二人は、自分たちは狐を疑わないと答えた。

紺三郎は、狐の学校で開かれる幻燈会へ二人を招待した。約束の日、四郎とかん子は、凍った雪原を渡って森へ向かった。会場には大勢の狐の子が集まり、木の実や魚を使った幻燈が映し出された。狐たちは、人間にだまされないための勉強をしていた。二人は少し驚きながらも、狐の世界を興味深く見つめた。

幻燈会のあと、狐たちは四郎とかん子に黍団子を差し出した。狐の食べ物には毒があるという噂を思い出し、二人は一瞬ためらった。しかし紺三郎のまっすぐな目を見て、疑うことこそ相手を傷つけるのだと気づく。四郎は先に団子を食べ、かん子も続いた。団子は甘く、狐たちは安心したように笑った。

四郎とかん子は狐たちに別れを告げ、月の光が満ちる雪原を家へ帰った。狐も人間も、知らない相手を噂だけで決めつければ、いつまでも友達にはなれない。二人の足跡は白い野原の上へ長く続き、森からは狐たちの歌声が風に乗って聞こえてきた。冷たい雪の夜は、不思議な温かさに包まれていた。

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