語り継ぐこころ/日本おとぎ噺・江戸小咄・古典落語・笑いの匠たち

日本おとぎ噺・江戸小咄、古典落語・笑いの匠たちのダイジェスト版と挿絵です。たまに、私の与太話が入ります。 文も挿絵もChatGPTが作っています。   よかったら ★nice! をポチット押してね。

4.『古典落語』「しわい屋(しわいや)」

100えんメガネ

昔、江戸の町に「しわい屋(しつこい性格の男)」とあだ名される商人がいた。何事につけても細かく、ケチで、くどい。商売相手を何度も値切り、交渉に時間をかけ、挙げ句には「少しでも得をせねば損」と信じて疑わぬ頑固者。周囲の者は相手をするのも疲れる始末。そんなある日、このしわい屋が、町内の馴染みの植木屋に声をかけた。「新しく鉢植えを買いたいんだが、少し見繕ってくれ」と。植木屋は「これはまた面倒な相手だ」と、内心溜息をつくのだった。

植木屋がいくつかの鉢を持ってくると、しわい屋は目をぎらり。「これは何年ものだ?」「水やりは一日何回?」「肥料は何を使っておる?」と、矢継ぎ早に質問攻め。そして「それにしてはこの値は高い」と値切りにかかる。植木屋も慣れたもので、多少のやり取りには応じるが、今日は一段としつこい。結局、しわい屋は「それでは、この鉢を一両で売ってくれ」と無理難題を持ちかける。「それはとても出せぬ」と植木屋が断ると、「では他を探すまでよ」と立ち去るのだった。町内の者たちは、「あの調子ではどこでも断られるだろう」と呆れていた。

ところが数日後、しわい屋が再び植木屋の元を訪れる。「やはりお前さんの鉢が一番良い。あれを一両で譲ってくれ」と、またも無茶を言う。植木屋もさすがに業を煮やし、「もう売れましたよ」と突っぱねるが、「じゃあ別の鉢を見せてくれ」と食い下がる。延々と続く押し問答に、ついに植木屋が「ええい、わかった、特別にその値で出しましょう」と折れてしまう。しわい屋は満足げに支払いを済ませ、植木を抱えて帰っていく。その姿に、周囲の者は「相手が根負けしてしまった」と肩をすくめるのだった。

数日後、しわい屋がまたやって来た。今度は「鉢にひびが入っていた」と文句をつけ、「一部返金せよ」としわいぶりを発揮。植木屋もたまらず、「もうけっこう、代金はお返ししますから、その鉢もお引き取りを!」と、泣く泣く応じる始末。ところが翌日、別の植木屋から「この鉢、上等で一両以上で売れるよ」としわい屋が得意顔で語っていたという話が町に広がる。これには皆呆れ、「あの男にはかなわない」と、しわい屋の名はますます広まり、江戸の伝説となった――というオチで噺は幕を閉じる。