語り継ぐこころ/日本おとぎ噺・江戸小咄・古典落語・笑いの匠たち

日本おとぎ噺・江戸小咄、古典落語・笑いの匠たちのダイジェスト版と挿絵です。たまに、私の与太話が入ります。 文も挿絵もChatGPTが作っています。   よかったら ★nice! をポチット押してね。

『宮沢賢治・光と風の物語』第十六回「祭の晩」第4話 山男からの不思議な恩返し/全4話

100えんメガネ

数日後の朝、亮二の家の前に、山のような薪が積まれていた。さらに庭には、袋いっぱいの栗まで置かれている。祭りの夜、山男が叫んだ「薪百把と栗八斗を返す」という約束を、本当に果たしたのである。亮二と祖父は、思いがけない贈り物を前に驚いた。



ところが薪と栗は一度だけではなかった。夜になると山から強い風が吹き、戸や木々が鳴った。翌朝には、また新しい薪や栗が置かれている。亮二は山男の律儀さをありがたく思う一方、これ以上受け取れば、かえって山男を困らせるのではないかと心配した。



亮二は庭先に立ち、山へ向かって大声で呼びかけた。「もう十分です。あの時のお金は返してもらうために出したのではありません」。姿は見えなかったが、山の奥から風が吹き下ろし、木々がざわざわと揺れた。亮二には、山男が自分の言葉を聞いているように思われた。



それから山男の贈り物は届かなくなった。しかし亮二は、祭りの夜に出会った不思議な山男を忘れなかった。わずかな親切にも全力で恩を返そうとした山男と、見返りを求めず助けた亮二。祖父は、人への親切は心でするものだと語り、山と人との温かな交流は静かに語り継がれた。