87.日本おとぎ噺 「羅生門の鬼(らしょうもんのおに)」
平安の昔、都の羅生門に鬼が現れるという噂が広まった。夜な夜な門に近づいた人々が忽然と姿を消すという。人々は恐れ、誰も近づかなくなった。ある日、都一番の弓の名手・渡辺綱(わたなべのつな)が、「このままでは武士の名折れ」と、鬼退治を志願する。

夜、綱は羅生門に潜む。すると突如、空が鳴り、黒雲とともに巨大な鬼が現れた。鬼は赤黒い顔に金色の目を光らせ、綱に襲いかかる。綱は驚きもせず矢を放ち、刀を抜いて斬りかかる。壮絶な戦いの末、綱は鬼の片腕を切り落とす。

綱は鬼の腕を持ち帰り、寺に納め封印する。その後、ある夜、綱の伯母と名乗る女が訪れ、「腕を見せてほしい」と懇願する。不審に思いながらも情に負けて見せると、女は鬼の姿に変わり、腕を奪って空へと逃げ去った。

騙されたことに怒りを覚えながらも、綱は自らの油断を悔いた。「鬼は必ずまた現れる。その時こそ仕留める」と誓い、再び剣の手入れを始める。以来、羅生門に鬼が現れたという噂は途絶えたという。

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