10.『日本おとぎ噺』 「豆つぶころころ」
むかしむかし、ある村に、ずぼらで怠け者な嫁が住んでいた。ある日、姑に言われて豆を煮ることになったが、ついウトウトして火加減を忘れてしまい、鍋の中の豆が煮えすぎて、豆つぶたちは勢いよく鍋から飛び出してしまった。「こりゃたまらん!」と豆つぶたちは叫び、ころころと転がって台所から外へと逃げていった。

ころころ転がった豆たちは野原へと出ていき、途中でいろいろな仲間と出会っていく。最初に出会ったのは「そらまめさん」、続いて「ごまつぶさん」、さらには「こんぶさん」や「おこめさん」も仲間になり、どんどん行列が長くなっていく。仲間たちは「もう戻らなくていい。新しい世界を見に行こう」と歌いながら、旅を続けた。

やがて一行は、小さな橋のかかる川にたどりつく。しかし渡る途中で、橋が壊れ、みんな一緒に川へどぼんと落ちてしまう。「助けてー!」と大騒ぎ。あわや全滅かというとき、通りかかった猫が騒ぎを聞きつけてやってきた。猫は優しく、みんなを次々に川から助け出してくれた。

助け出された豆たちは「ありがとう、猫さん!」「命拾いしたよ!」と礼を言い、旅を終えて村へ帰ることにした。嫁も、自分のずぼらさが引き起こした騒動に気づき、心を入れ替えてまじめに働くようになったという。それからというもの、村では豆を煮るときは誰も居眠りをしなくなったそうな。

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