よもやま文庫/語り継ぐこころ

日本おとぎ噺・江戸小咄、古典落語・笑いの匠たち・私の与太話・古典小説のダイジェスト版と挿絵です。 文も挿絵もChatGPTが作っています。ちょんまげの描写が正しくできません。お許しを。

56.『古典落語』「三人旅(さんにんたび)」

100えんメガネ

江戸の町人三人組、八五郎・熊五郎・与太郎が、思い切って上方(かみがた)への道中に出かけることになった。庶民の旅といえば、伊勢参りや熊野詣など、ちょっとした晴れがましいもの。三人は着流しに手拭い、腰には銭をぶら下げ、道中の草鞋(わらじ)も軽やかに、いざ出発。道中、茶屋に立ち寄ったり、宿で地元の話に耳を傾けたり、町人らしい好奇心と浮かれ気分があふれていた。



そんなある日、一行が立ち寄った宿で、夜になって寝床に入ろうとすると、問題が起こる。なんと、三人分の布団が二組しかない。宿の者いわく「今晩は満室で布団が足りません」とのこと。これに対し熊五郎が「三人で二組あれば充分だ」と言い出し、提案を始める。「まずは一人が二人を背中に乗せて寝れば、次は交代で……」という具合。だが話が進むにつれ、誰が先に寝るかで揉めだし、ついには「お前が重い」「いびきがうるさい」など言い合いになる始末。



とうとう夜も更け、疲れが溜まった三人は、「じゃんけんで決めよう」となり、ようやく順番が決まる。だが、布団に入った者があまりに気持ちよさそうに寝ているのを見ると、外で順番待ちをしている者は腹が立って仕方ない。ようやく交代の時間となっても、眠っている者は起きようとせず、「まだ交代じゃねぇ」と言い張る。宿の中庭で草履を枕に、夜空を見上げる八五郎は、「旅もいいけど、長屋の狭い布団が恋しいなぁ」とぼやくのだった。



翌朝、三人は寝不足のまま宿を発つ。だが、宿の女中に「昨夜はお騒がせしました」と頭を下げつつも、どこか満足げな様子。騒がしくも笑いの絶えない道中に、江戸っ子らしい粋と間抜けが混ざり合う。三人の旅はまだまだ続くが、こうした小さな騒動があるからこそ、旅は面白い。江戸の町人が織りなす、可笑しくも人情味あふれる一席である。