『宮沢賢治・光と風の物語』第十二回「カイロ団長」
三十匹のあまがえるは、虫たちに頼まれ、草の実や美しい石、苔を集めて、小さな花畑や庭を造っていた。朝の金色の光から夕暮れまで、風の中で歌い、声を掛け合って働く毎日は、忙しくても楽しいものだった。ある日、仕事帰りの一行は、桃の木の下に新しく開いた酒屋を見つける。

酒屋のとのさまがえるは、珍しい外国の酒を勧めた。あまがえるたちは夢中になって何杯も飲み、代金を払えなくなる。とのさまがえるは、借金の代わりに全員を家来とし、自らを「カイロ団長」と名乗った。翌日から団長は、千本の木や一万粒の実を集めろと命じ、できなければ警察へ渡すと脅した。

団長は今度、一匹につき九百貫もの石を運べと命じた。疲れ果てたあまがえるたちが倒れかけた時、青空から、かたつむりのメガホンが響く。「命令する者は、相手との体重差を計算し、その仕事を自分で二日間試せ」。計算すると、団長自身が四千五百貫の石を運ばなければならなくなった。

石を動かせず倒れた団長を、あまがえるたちは思わず笑った。しかし再び王様の声が響く。「すべての生き物は気のよい、かわいそうなものである。決して憎んではならない」。あまがえるたちは団長を助け、団長も涙を流して謝った。翌日から彼は仕立屋となり、皆は光と風の中で、元の楽しい庭造りへ戻った。

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