語り継ぐこころ/日本おとぎ噺・江戸小咄・古典落語・笑いの匠たち

日本おとぎ噺・江戸小咄、古典落語・笑いの匠たちのダイジェスト版と挿絵です。たまに、私の与太話が入ります。 文も挿絵もChatGPTが作っています。   よかったら ★nice! をポチット押してね。

『宮沢賢治・光と風の物語』第四回「セロ弾きのゴーシュ」

100えんメガネ

町の活動写真館で、ゴーシュは楽団のセロを弾いていた。しかし演奏は遅れ、音も乱れ、楽長から毎日のように叱られていた。十日後には大きな音楽会がある。ゴーシュは夜になると、水車小屋のような古い家へ帰り、一人で何度も練習した。窓の外には畑が広がり、月の光と夜風だけが、ぎこちない音を聞いていた。


ある晩、練習中のゴーシュの前に三毛猫が現れ、音楽を頼んだ。ゴーシュは腹を立て、激しい曲を弾いて猫を追い返す。次の晩にはかっこう、その次には子狸、さらに野ねずみの親子が訪れた。動物たちは歌や太鼓の調子、病気の治療など、それぞれ違う願いを持っていた。ゴーシュは戸惑いながらも、毎晩セロを弾き続けた。


動物たちとの不思議な稽古が続くうち、ゴーシュは相手の声をよく聞き、速さや強さを合わせて弾くことを覚えていった。怒って鳴らしていた音は、次第に柔らかく、深く響くようになる。音楽会の日、楽団の演奏は見事に成功した。観客の拍手が鳴りやまず、楽長はゴーシュに一人で演奏するよう命じた。ゴーシュは驚きながら舞台の中央へ進んだ。



ゴーシュが力いっぱい弾くと、会場は大きな音の波に包まれた。演奏を終えたゴーシュは、自分が以前より上手になったことを初めて知る。家へ帰ると、朝の光が畑を照らし、風が静かに草を揺らしていた。ゴーシュは窓を開け、遠くの森へ向かって、かっこうに謝った。動物たちが教えてくれた音を思い出しながら、もう一度セロを優しく鳴らした。