61.日本おとぎ噺 「河童の雨ごい(かっぱのあまごい)」
むかし、とある山あいの村が、長い日照りで困っていた。田んぼは干上がり、作物は枯れ、人も家畜も水に飢えていた。村人たちは毎日、山の神に雨ごいをしていたが、一向に雨は降らなかった。ある日、村の古老が「この谷の池には河童(かっぱ)が住んでいる。河童が天に願えば、きっと雨を呼んでくれるはずじゃ」と言った。

村人たちは池のそばへ行き、河童に向かって「どうか、雨を降らせてください」とお願いした。すると水面が揺れ、ぬっと現れたのは本当に河童だった。河童は人々の願いを聞くと、「それほど困っているなら、わしも手を貸そう。ただし、一つだけ約束してほしい」と言った。「わしが雨を呼ぶために踊っている間は、誰も笑ってはいけないぞ」

翌日、村人たちが見守る中、河童は池の上で奇妙な踊りを始めた。ぐるぐると回り、足をバタバタ、お尻を振って、何ともおかしな格好。村人たちは必死で笑いをこらえていたが、とうとう子どもが「ぷっ」と吹き出してしまった。それをきっかけに、大人たちまで大笑い。怒った河童は「もう知らん!」と池に飛び込んでしまった。

河童が池に戻ると、突然空に黒雲が広がり、雷が鳴った。しばらくして、待ちに待った大粒の雨が村に降り注いだ。作物は息を吹き返し、村人たちは大喜び。あの河童の怒りが天に届いたのか、それとも笑いが空を突き動かしたのか…それは誰にもわからなかった。だがそれ以来、村では雨が欲しいとき、「河童さん、踊ってくだされ」と願うようになったという。

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