語り継ぐこころ/日本おとぎ噺・江戸小咄・古典落語・笑いの匠たち

日本おとぎ噺・江戸小咄、古典落語・笑いの匠たちのダイジェスト版と挿絵です。たまに、私の与太話が入ります。 文も挿絵もChatGPTが作っています。   よかったら ★nice! をポチット押してね。

『宮沢賢治・光と風の物語』第十回「やまなし」

100えんメガネ

五月の谷川。水底に暮らす二匹の蟹の子は、青白く揺れる水の光を見上げながら、「クラムボンは笑ったよ」「死んだよ」と不思議な話をしていた。泡は水銀のように流れ、日光の網が砂の上で揺れている。父蟹は、子どもたちの問いに静かに答え、川の中の穏やかな暮らしを見守っていた。



突然、青い光が水中を走り、一匹の魚が消えた。かわせみが水面から飛び込み、魚を捕らえていったのである。蟹の子たちは恐ろしさに身を縮め、父蟹のそばへ寄った。やがて水は再び静かになったが、明るい五月の川にも、命を奪う出来事が潜んでいることを、子どもたちは初めて知った。



十二月、谷川の水は冷たく澄み、月の光が水底まで青白く届いていた。成長した蟹の子たちが泡を追って遊んでいると、上から丸いものが落ちてきて、川底へ沈んだ。子どもたちは、また恐ろしいものが来たのかと身構えたが、父蟹は匂いを確かめ、「これはやまなしだ」と教えた。



父蟹は、やまなしが熟すまで待ち、やがて皆で食べようと言った。蟹の親子は、香りを放ちながら沈む実を見つめ、ゆっくりと巣穴へ帰っていった。水面では風が木々を揺らし、月の光が川を静かに流れていた。五月の恐怖とは対照的に、十二月の水底は、恵みを待つ穏やかな喜びに包まれていた。