『宮沢賢治・光と風の物語』 第十三回「グスコーブドリの伝記」第4話 クーボー大博士との出会い/全6話
赤ひげの主人と別れたブドリは、汽車に乗ってイーハトーヴ市へ向かった。農民たちを苦しめる冷害や旱魃を防ぐ方法を学ぶため、長年、本で親しんできたクーボー大博士を訪ねようと決意したのである。初めて見る大都会の騒音や自動車に戸惑いながら、夕方近く、ようやく古びた白い校舎を探し当てた。

校舎の二階では、背の高い大博士が、大勢の学生を前に大声で講義をしていた。黒い壁には複雑な図が描かれ、櫓のような模型が船やムカデの形へ次々と変化する。学生たちは首をかしげていたが、本を何度も読んでいたブドリには、その内容が面白いほど理解できた。彼は農場で使っていた古い手帳へ、夢中で図を書き写した。

講義後、大博士は希望者のノートを調べ、質問に答えさせた。最後に残ったブドリが古い手帳を差し出すと、博士は正確な図と農業の記録に目を留めた。さらに煙突から出る煙の色や形について質問すると、ブドリは工場生活で身につけた観察を詳しく答えた。博士はその知識と真面目さを認め、「面白い仕事がある」と名刺を渡した。

ブドリが深く頭を下げて教室を出ようとすると、大博士は鞄に本や白墨を放り込み、突然、二階の窓から飛び出した。驚いて窓へ駆け寄ると、博士は小さな飛行船を操り、夕暮れの町の上を飛んでいた。博士から託された名刺は、ブドリを火山局という新しい仕事へ導くものだった。苦労の中で学んだ知識が、ついに未来への扉を開いた。

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