語り継ぐこころ/日本おとぎ噺・江戸小咄・古典落語・笑いの匠たち

日本おとぎ噺・江戸小咄、古典落語・笑いの匠たちのダイジェスト版と挿絵です。たまに、私の与太話が入ります。 文も挿絵もChatGPTが作っています。   よかったら ★nice! をポチット押してね。

26.『江戸小咄』「恋病(こいやみ)」

100えんメガネ

長屋に住む与太郎(よたろう)が、ある日、しょんぼりと寝込んでしまった。
熱もなければ、咳も出ず、飯も喉を通らない。ただ天井を見つめてため息ばかりついている。
「どうしちまったんだい、風邪かね?」と心配する熊さんや八っつぁんに、与太郎はぽつりと答える。
「いや…なんだか胸がこう、きゅうっとするんで…」



よくよく話を聞いてみると、どうやら近所の団子屋の看板娘「お糸(いと)」に惚れたらしい。
いつも元気に団子を売る笑顔が頭から離れず、姿が見えないと気が塞ぐ。
「こりゃ“恋わずらい”ってやつだな」と八っつぁんがニヤリと笑うと、熊さんも「若いねぇ」とうなずいた。
「だがな、与太。江戸っ子たるもの、惚れた腫れたで寝込んじまうのは粋じゃねぇ」と気合を入れた。



翌朝、仲間たちが一計を案じ、与太郎を無理やり団子屋に連れていく。
すると、ちょうど裏口で団子の仕込みをしていたお糸とばったり出くわす。
驚いたお糸が「どうしたの、具合が悪いって聞いたけど」と声をかけると、与太郎は顔を真っ赤にしながら
「……団子、三本ください」と言ってしまう。
仲間たちは大笑い。「ちげぇだろ、言うなら『好きだ』って言え!」とどやされる。



お糸はくすりと笑って「三本ね、恋煩いの薬になるかしら」と団子を手渡す。
与太郎は黙って受け取り、一口かじってふわっと笑った。
「……うまいな」
それからというもの、与太郎は毎日団子屋に通うようになり、やがてふたりは気の合う仲に。
――江戸の町では、熱よりも団子よりも、恋の力が一番効く薬だったのでござんす。