語り継ぐこころ/日本おとぎ噺・江戸小咄・古典落語・笑いの匠たち

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『宮沢賢治・光と風の物語』 第十三回「グスコーブドリの伝記」第2話 家族との別れと工場生活/全6話

100えんメガネ

飢えが深まる森で、父は家族の食べ物を探すため家を出たまま戻らなかった。やがて母も、弱ったブドリと妹ネリを残し、吹雪の中へ姿を消してしまう。幼い二人は寒い家で身を寄せ合い、わずかな木の実を分けながら父母の帰りを待った。しかし森には風の音だけが響き、一家の穏やかな暮らしは失われてしまった。



ある日、見知らぬ男が家を訪れ、食べ物を与えるような素振りを見せた。ところが男は突然ネリを抱き上げ、そのまま森の奥へ連れ去ってしまう。ブドリは必死に追いかけたが、空腹と疲れで足が動かず、男の姿を見失った。家族全員と離れ離れになったブドリは、雪の中に立ち尽くし、妹の名を何度も叫んだ。



一人になったブドリは、森を買い取った工場主に拾われ、蚕の繭から糸を作るてぐす工場で働くことになった。工場には大きな釜や糸を巻き取る機械が並び、熱気と蒸気が満ちていた。ブドリは朝から晩まで繭を運び、機械を動かし、難しい仕事も懸命に覚えた。厳しい生活の中で、少年は働いて生きる力を身につけていった。



数年が過ぎ、ブドリは工場の仕事を一人で任されるほど成長した。しかし不景気が訪れ、てぐすが売れなくなると、工場主は工場を閉じることを決めた。ブドリは世話になった工場主に礼を述べ、わずかな荷物を背負って新しい働き口を探す旅へ出る。家族を失った悲しみを胸に抱きながら、彼は自分の力で未来を切り開こうとしていた。