『宮沢賢治・光と風の物語』第十九回「北守将軍と三人兄弟の医者」第2話 北守将軍ソンバーユーの帰還/6話
北の国境を守る大将軍ソンバーユーは、長い遠征を終え、大勢の兵を率いてラユーの都へ帰ってきた。城門には旗が並び、人々は道の両側に集まって英雄の帰還を喜んだ。しかし将軍は馬上で背を丸め、顔色も青く、疲れ切った様子だった。

宮殿へ戻ったソンバーユーは、王や家臣に遠征の成功を報告した。ところが席を立とうとした瞬間、激しく咳き込み、足元をふらつかせた。侍医たちは薬や温かい湯を用意したが、熱は下がらず、夜になると息苦しさも増していった。

さらに異変は将軍だけではなかった。愛馬は餌を食べず、遠征先から持ち帰った鉢植えの木まで葉を落とし始めた。人、獣、草木が同時に弱っていることを不思議に思った老臣は、都で評判の三人兄弟の医者を呼ぶよう王に進言した。

王の使者は夜の都を急ぎ、長兄リンパー、次兄リンプー、末弟リンポーの家を訪ねた。三人は事情を聞くと、それぞれ薬箱、獣医の道具、草木を調べる籠を手にして宮殿へ向かった。静かだった兄弟の暮らしは、将軍の帰還によって大きく動き始めた。

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