語り継ぐこころ/日本おとぎ噺・江戸小咄・古典落語・笑いの匠たち

日本おとぎ噺・江戸小咄、古典落語・笑いの匠たちのダイジェスト版と挿絵です。たまに、私の与太話が入ります。 文も挿絵もChatGPTが作っています。   よかったら ★nice! をポチット押してね。

4.『江戸小咄』「煙草入」

100えんメガネ

ある日、長屋の男・茂兵衛が、懐から見事な革の煙草入れを取り出した。細工も見事、金具も上等。隣人の徳さんが「おい茂さん、それは粋な一品だねえ」と感心する。茂兵衛、鼻を高くして「ええ、吉原帰りにふと見つけてね、つい衝動買いで」と得意気に語る。

ところがそれを見た熊五郎が、「へぇ、いいもん持ってるじゃねえか。でも中身はどうだ?」と聞く。茂兵衛が開けて見せると、中は空っぽ。火入れも、煙草葉も入っていない。徳さんが首をかしげて「使ってないのかい?」と尋ねると、茂兵衛は気まずそうに笑いながら「いや…まだ煙草買ってなくて」と口ごもる。

そこへ、ご隠居が通りかかり、一連の話を聞いて大笑い。「煙草入れだけ持って、煙草がねえとは――なんだい、まるで財布だけ持ってて金が入ってないようなもんだな」と言うと、周囲もつられて笑う。茂兵衛はちょっぴり赤面しながらも、肩をすくめて「見栄張るのも楽じゃねえ」と苦笑い。

夕暮れ時、長屋の路地裏に笑い声がこだまする。誰もが貧しくとも、笑いと粋で生きていた江戸の暮らし。
茂兵衛の煙草入れは、今日も胸元で空っぽのまま、誇らしげに揺れている――。