語り継ぐこころ/日本おとぎ噺・江戸小咄・古典落語・笑いの匠たち

日本おとぎ噺・江戸小咄、古典落語・笑いの匠たちのダイジェスト版と挿絵です。たまに、私の与太話が入ります。 文も挿絵もChatGPTが作っています。   よかったら ★nice! をポチット押してね。

11.『江戸小咄』「蕣(あさがお)」

100えんメガネ

ある町の裏店に住む若い娘、およしは、毎朝欠かさず庭に咲く蕣(あさがお)を眺めるのを楽しみにしていた。短命なその花を愛おしみ、夜明けとともに起きては、咲いたばかりの花に声をかけ、水をやっては手を合わせていた。その姿は、近所の者の目にも「風流な娘」と映っていた。


ある日、裏長屋の表に住む職人・新八がふと、およしの庭先を通りかかった折、彼女の花に語りかける様子に目をとめる。やがて新八は、朝早くに目を覚ましては、彼女の花ごしに姿を見つけるのが日課となり、次第に胸に淡い思いが芽生え始めた。彼女もまた、ちらと目を合わせては、微笑み返す日も増えていった。

そんな折、台風が町を襲い、裏長屋の庭は荒れ、蕣の鉢も倒れてしまう。およしは必死に救おうとするが、翌朝には花の葉も傷み、もう咲くことはなかろうと泣き伏す。その様子を見ていた新八は、黙ってその場を立ち去り、翌朝――彼女の戸口に、新しい鉢植えがそっと置かれていた。そこには、咲き誇る蕣と共に短い文、「来年も、咲かせておくれ」と一筆あった。

文に心動かされたおよしは、そっと鉢を抱きしめ、朝露に濡れながらも笑みをこぼす。やがてふたりは言葉を交わし、季節がめぐるうちに縁も結ばれたという。――江戸の町の片隅で、ひと夏の花が結んだ小さな恋の噺でござんす。