『宮沢賢治・光と風の物語』第十九回「北守将軍と三人兄弟の医者」第5話 草木医リンポー先生の治療/6話
リンポーは、軍馬が食べた草と北方から運ばれた土を竹籠に集め、色や匂い、根の傷み方を丁寧に調べた。草の葉には黒い粉が付き、根の周囲の土は固く乾いていた。リンポーは、北の土地で草木を弱らせる異変が起きていると考えた。

リンポーが草の根を水で洗うと、細い根の一部が黒く変色していた。さらに土を器へ入れて水を注ぐと、表面に黒い粉が浮かび、かすかな異臭も現れた。これは普通の枯れ草ではなく、北方の水や土に混じったものが原因らしいと分かった。

リンポーは、清らかな土と水を使って弱った草を植え替え、根を守る薬草の汁を少し与えた。しばらくすると、しおれていた葉がゆっくり起き上がり、新しい芽も開き始めた。草木が回復したことで、将軍や軍馬の病も北方の土地の異変とつながっていることが確かになった。

リンポーは王に、「治療だけでは、また同じ病が起こります。北の水源と土を調べ、黒い粉の出どころを止めねばなりません」と告げた。三兄弟は、人・獣・草木の診察結果を一つにまとめ、回復した将軍とともに北方へ向かう準備を始めた。

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