11.『日本おとぎ噺 』「しっぽの釣り」
むかしむかし、ある冬の日。あたり一面は雪に覆われ、冷たい風が吹きつける季節のこと。お腹を空かせたキツネが、とぼとぼと雪道を歩いていると、向こうからやってきたサルに声をかけられます。
「おい、キツネや。魚が食いたいなら、いい方法があるぞ」
サルはニヤニヤ笑いながら、川の氷に穴をあけて、しっぽを入れておけば魚が食いついてくると教えます。
「ほんとうか? それはありがたい」
キツネは疑いながらも、サルの言葉を信じることにしました。

キツネはさっそく氷の上に腰を下ろし、教えられたとおりにしっぽを穴に突っ込み、じっと待ちます。
冷たい風が吹きつけるなか、キツネは「もうすぐ魚が食いつくだろう」と必死に我慢します。
ところが時間が経っても、しっぽに魚がかかる気配はありません。それどころか、どんどん寒さが増し、しっぽが動かなくなってきました。

やがて夜が近づき、キツネは「そろそろ引き上げよう」としっぽを引っ張ろうとしますが――抜けない!
氷の中でしっぽが凍りついてしまったのです。
キツネは慌てて立ち上がろうとしますが、無理に引っ張った拍子に、**ぶちん!**と音を立てて、しっぽの先がちぎれてしまいます。
その瞬間、近くの木の上から、あのサルが腹をかかえて大笑い。
「ひっかかったな、まぬけなキツネめ!」
ようやく騙されたと気づいたキツネは、怒りと恥ずかしさでいっぱいになり、尻尾の先をなくしたまま、雪の中を逃げ去っていきました。

キツネはもう、だまされまいと心に誓いました。
それからというもの、キツネのしっぽの先は少し短くなったといいます。
今でも山に住むキツネたちのしっぽを見ると、先が丸くなっているのは、そんな昔話の名残かもしれませんね──。

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