33.日本おとぎ噺 「猿地蔵(さるじぞう)」
昔、貧しいが心の優しいおじいさんと、おばあさんが山里に住んでいました。ある冬の日、おじいさんは山へ薪を取りに行きましたが、大雪で道に迷ってしまいます。寒さに震えていると、ふと目の前に古びた地蔵さまが現れました。おじいさんはその地蔵に「助けてください」と手を合わせ、しばらくそばに座って雪をしのぎました。

夜になると、山奥から猿の群れが現れました。彼らは不思議と人語を解し、おじいさんに「地蔵を大事にした者には福がある」と言って、食べ物や金銀財宝を与えてくれたのです。朝になると、猿たちは跡形もなく消えていました。おじいさんは荷物を背負って、無事に帰ることができました。

村に帰ったおじいさんは、村人にその話をしました。それを聞いた欲張りなおじさんが「俺も宝をもらってやる」と言って、わざと地蔵の前で寝たふりをしました。するとまた猿たちが現れたのですが、おじさんは「宝をよこせ」と怒鳴ってしまいます。猿たちは驚き、怒って、おじさんに木の実を投げつけて追い払ってしまいました。

その後、おじいさんは手に入れた財を使って村の人たちに分け与え、地蔵を立派に建て直しました。村人たちは地蔵さまへの感謝の心を忘れず、春には花を、冬には衣を供えるようになりました。猿たちは再び現れることはありませんでしたが、人々の心にはいつまでもその優しさが残ったといいます。

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