6.『日本おとぎ噺』 「たのきゅう」
昔々、芸で身を立てる若者「たのきゅう」という旅芸人がおりました。彼は村から村へと旅をしながら、人々に唄や踊りを披露し、食べ物や宿を恵んでもらっていました。顔には笑顔を絶やさず、どこへ行っても人気者でした。

ある日、山道を歩いていると、急に大きな狸が姿を現しました。「お主、芸ができるそうじゃな。わしと勝負せんか?」と狸が言うのです。たのきゅうは驚きましたが、「面白い!」と快諾しました。狸も人間に化けて、得意の芸を披露。二人は交互に芸を見せ合い、近くにいた村人たちも集まってきました。

狸は得意げに「次はわしの秘伝の芸じゃ!」と宣言し、驚くような変身芸を披露します(※ここでは金玉を使った芸とはせず、「布のような大きな風呂敷を使い、空を飛ぶ真似や傘に化ける」などで代替)。観客は大笑いし、たのきゅうも感心しきり。だが狸は調子に乗りすぎ、最後にはうっかり姿が元に戻ってしまいます。

狸は少し恥ずかしそうに笑い、「おぬしの芸もなかなかじゃった」と言いました。たのきゅうも「いや、そなたの芸も見事だったよ」と笑って答えます。やがて狸は山へ戻り、たのきゅうは次の村へ旅立ちました。人と狸が芸で心を通わせた、不思議で愉快な一日でした。

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