「私の与太話」「介護施設」
年金の通知が届いた。「おっ、少し増えている」。ところが通帳を見て首をかしげた。振り込まれた額は思ったほど増えていない。よく見ると介護保険料やら何やらが差し引かれている。働き始めてから何十年も払い続けてきたのに、年金は増えても手取りは増えない。まるでバケツに水を注いでいるのに、底の穴も一緒に大きくなっているような気分だった。

私は昔、介護施設で働いていた。入居者の方々が安心して暮らし、職員が支える姿を見て、「年を取ったら、いつか私もお世話になるのだろう」と思っていた。介護施設は社会に欠かせない大切な場所だと今でも思っている。だから介護保険料を払うことにも不満はなかった。困ったときに助けてもらえる保険だと信じていたからである。

ところが最近、施設の利用料金を聞いて驚いた。年金だけではとても足りそうにない。物価も上がり、光熱費も上がり、施設の運営が大変なのは分かる。しかし、長年保険料を払い続けてきた身からすると、「いざ使う段になったら手が届かない」とは何とも切ない。保険証は持っているのに、まるで高級旅館のパンフレットを眺めているような気分になった。

そんなことを考えながら年金の通知書を眺めていると、妻が言った。
「何を難しい顔してるの?」
「将来、介護施設に入れるか計算してるんだよ」
すると妻は笑って一言。
「心配しなくても大丈夫。あなたなら毎日スポーツジムに通って、施設より長生きするわよ」
なるほど――私の介護保険は、どうやら施設より先にジムで使い切る運命らしい。

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