18.『日本おとぎ噺』 「たにし長者」
むかしむかし、ある村に年老いた母と、その一人息子が住んでおりました。ところがこの息子、生まれながらにして人間ではなく、なんと**たにし(田螺)**の姿をしていたのです。母は驚きながらも、「どんな姿でもわが子に変わりはない」と、毎日大事に育てました。

ある日、たにしの子は「おらも、嫁っこがほしい」と母に訴えます。母は困りながらも、村の長者に頼みに行きます。最初は笑われて追い返されましたが、何度も頭を下げる母の熱意に心を打たれ、末娘がしぶしぶ嫁にくることに。嫁入りの日、たにしは布団にくるまり、こっそり見守っていました。

ある晩、娘がふと布団をのぞくと、中からたにしではなく、りりしい若者が現れました。実はこの若者、神さまの加護によって一時的にたにしの姿をしていたのです。若者は「夜だけ人の姿に戻れるが、まだ秘密にしてほしい」と娘に語ります。やがて娘がその秘密を守り続けるうちに、若者の姿のまま戻れなくなることはなくなり、夫婦は仲むつまじく暮らします。

ふたりはその後、努力と知恵で田畑を開き、大きな財を成します。人々は彼を「たにし長者」と呼び、その徳をたたえました。母も安らかに暮らし、村人たちも彼の正直と努力に学びながら平和に暮らしました。

このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。