語り継ぐこころ/日本おとぎ噺・江戸小咄・古典落語・笑いの匠たち

日本おとぎ噺・江戸小咄、古典落語・笑いの匠たちのダイジェスト版と挿絵です。たまに、私の与太話が入ります。 文も挿絵もChatGPTが作っています。   よかったら ★nice! をポチット押してね。

10.『古典落語』「うそつき村(うそつきむら)」

100えんメガネ

江戸の町にて、旅の噺好きが耳にしたのは、"嘘しか言わぬ村"があるとの話。その名も「うそつき村」。興味津々、男は早速そこへ向かうこととした。道中、旅籠の亭主や道端の百姓らも口を揃えて「あの村の連中は、嘘しかつかん」と言う。道を進むうち、男の胸は高鳴り、目の前に現れたのは、どこかのどかでありながら、妙な静けさをたたえた村であった。

村に足を踏み入れた男は、早速村人に挨拶する。だが、「きょうは雨がひどいねぇ」と言えば、空は快晴であり、「この前の雪はすごかった」と言えば、村人は「いや、火事だった」と返す。何を言っても、すべてが反対の応答。まさに、嘘がまことの村。男は面白がりつつも、村人の言葉の裏を読まねば話も通じぬ不思議さに、徐々に困惑を深めてゆく。

やがて男は、村の古老に案内され、村のしきたりを聞かされる。「この村では、正直者こそ罪。嘘をつかねば、暮らせぬのです」と、古老は深く語る。たとえば「死んだ」と言えば生きている、「盗られた」と言えば貰った、「嫌いだ」と言えば好き――すべてが裏返しの論理。男は試しに「泥棒が入った」と叫ぶと、村人は拍手喝采。「おぉ、祝いごとだ!」と、餅をつき始める始末。何もかもが逆さまな奇天烈さに、男はついに頭を抱える。

一晩泊まったのち、男は村を後にする。村人は「二度と来るな!」とにこにこ笑いながら手を振る。つまり「また来ておくんな」ということか。男は、江戸へ戻りつつ、ふと笑みをこぼす。「世の中、まっすぐなようで、案外こういう“裏”もあるってこったな」。道すがら見上げた空は、村で言えば「曇り」となる青空――江戸の空の下、嘘か誠か、風が軽く笑って吹き抜けた。