102.日本おとぎ噺 「たろ丸の話」
むかし、山あいの小さな村に、力持ちで働き者の若者・たろ丸がいました。たろ丸は村人たちを手助けし、困っている者があれば山を越え川を渡り、何でも引き受けました。ある日、村を流れる川が急に氾濫しそうになり、たろ丸は一人で堤を守り、村を水害から救いました。その働きぶりに、村人たちはますます感謝しました。

ある年のこと、大きな飢饉が村を襲いました。田畑は干上がり、村人たちは食べ物に困り果てます。たろ丸は山奥に出かけ、食べられる木の実や山菜を探しましたが、それだけでは足りません。そこで、たろ丸は村人たちのために隣の町まで行き、米を手に入れる方法を考えます。旅は険しく、深い谷や急な坂道が続きますが、たろ丸は疲れを見せず歩き続けました。

たろ丸が町でようやく米を手に入れ、帰る途中、急な嵐に見舞われます。川が増水し橋が流され、帰る道が断たれてしまいました。それでもたろ丸はあきらめず、命がけで川を渡ろうとします。村の人々を思い浮かべながら、たろ丸は米俵を抱え、激しい流れに足を踏み入れました。大雨と濁流の中、たろ丸の姿は必死そのものです。

やっとの思いで村に帰り着いたたろ丸。村人たちは歓声を上げ、たろ丸の無事と米の到着を喜びました。その米は村人たちを飢えから救い、村には再び活気が戻りました。たろ丸は自分の働きに誇りも見せず、「みんなが無事なら、それでいい」と笑いました。村人たちは、たろ丸の勇気と優しさを語り継ぎ、後の世まで英雄として伝えたといいます。

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