語り継ぐこころ/日本おとぎ噺・江戸小咄・古典落語・笑いの匠たち

日本おとぎ噺・江戸小咄、古典落語・笑いの匠たちのダイジェスト版と挿絵です。たまに、私の与太話が入ります。 文も挿絵もChatGPTが作っています。   よかったら ★nice! をポチット押してね。

「私の与太話」「進路」

100えんメガネ

今日、ジムで顔なじみの大学三年生に会った。聞けば、もう就職活動の真っ最中で、説明会や面接のため東京へも何度か出かけたという。まだ三年生なのに、ずいぶん早くから動くものだと思った。企業研究、エントリーシート、面接対策。私の学生時代とは、就職までの道のりそのものが違うようだ。



私のころは、大学四年の十一月ごろになってから、ようやく会社を何社か受けた程度だった。今の学生から見れば、ずいぶんのんびりした就職活動である。それでも運よく採用され、そのまま社会人になった。当時は「会社へ入れば、あとは何とかなる」と、どこかで思っていた。会社というものがなくなるなど、若い私は考えもしなかった。



私が入ったのは、大手企業の販売部門を独立させてできた会社だった。商品にも知名度があり、「まあ、この会社なら大丈夫だろう」と思っていた。しかし年月がたつうちに、商品も事業も他社へ売却され、会社そのものは今では存在しない。あれほど確かなものに見えた会社でも、永久に続くわけではなかったのである。



だから彼には、偉そうな就職指南はしなかった。ただ、「会社は永久にあるとは限らない。自分を大切にしなよ」とだけ言った。どこの会社へ入るかも大事だが、会社が変わっても、自分までなくなる必要はない。彼は笑ってうなずいた。さて、そんなことを言った私自身はというと――会社はなくなったのに、ジムの会員だけは今日もちゃんと続いている。