語り継ぐこころ/日本おとぎ噺・江戸小咄・古典落語・笑いの匠たち

日本おとぎ噺・江戸小咄、古典落語・笑いの匠たちのダイジェスト版と挿絵です。たまに、私の与太話が入ります。 文も挿絵もChatGPTが作っています。   よかったら ★nice! をポチット押してね。

『宮沢賢治・光と風の物語』第十六回「祭の晩」第3話 亮二の親切と祖父の教え/全4話

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家へ帰った亮二は、祭りの茶屋で団子代を払えず責められていた大男を助け、代わりにお金を置いたことを祖父に話した。さらに男が、薪百把と栗八斗を返すと叫び、山へ逃げていったことも伝えた。



祖父は、困っている人を見過ごさず、自分のお金を差し出した亮二の行いを褒めた。相手が町の人でも山男でも、苦しんでいる者を助ける心に違いはないという。亮二は祖父の言葉を聞き、胸が温かくなった。



しかし祖父は、団子代のお礼に薪百把と栗八斗では多すぎると顔を曇らせた。親切は大きな見返りを求めてするものではなく、相手を困らせるほどのお礼を受け取るべきでもないと諭した。亮二も真剣な顔で聞いた。



亮二は、山男が本当に品物を持ってきても、必要以上には受け取らず、気持ちだけをありがたく受けようと思った。祖父は満足そうにうなずいた。夜が更けると、山から吹く風が家の戸を鳴らし、亮二は山男の姿を思い浮かべた。


37.『江戸小咄』「物知(ものしり)

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長屋の与太郎、近頃ちょいと鼻が高い。というのも、町内で評判の物知り老人・ご隠居のもとに通い詰め、あれこれと豆知識を仕入れては、皆の前で披露しているからで――。
「それはね、昔の中国ではこうだったんだ」などと、それらしく語る与太郎に、子供たちも大人たちも「へぇ~」と感心することしきり。



ある日のこと、ご隠居の留守中に、隣町から来た旅人が道を尋ねてきた。「芝神明(しばしんめい)へ行くにはどうすりゃいい?」と聞かれた与太郎、すかさず「芝神明? それはたしか……神明さんだから、光ってるんでしょうね」と、もっともらしく答える。
「こりゃすげぇ!」と町人たち、与太郎のことを「歩く百科事典だ」と持ち上げる。



しかしその晩、ご隠居が戻ってきて、件の話を聞いて大笑い。「芝神明ってのは、お稲荷様みたいなもんで、光ってるわけじゃねぇよ!」と一喝。
与太郎は顔を真っ赤にして、「だって、名前が“しんめい”ですから、てっきり“神明るい”のかと……」と弁解するが、周囲は大爆笑。



それ以来、与太郎は「物知り」から一転、「珍答えの名人」と呼ばれるように。それでも本人はどこ吹く風で、「今度は“けんちく”ってのを学んでみやしょうかね」と、またご隠居のもとへ通いはじめる。
――江戸の町には、知恵も笑いも人情も、転がっていたのでござんす。


「私の与太話」「しそ巻き味噌」

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この辺の店で「しそ巻き味噌」を見つけた。懐かしい名前につられて買ってみたが、一口食べて驚いた。味噌がずいぶん甘いのである。土地の人にはこれが普通らしいが、私にはお菓子のようで、白いご飯よりお茶が欲しくなった。



我が家のしそ巻きは、味噌に片栗粉と七味を混ぜ、青じその葉でくるりと巻く。それを油で香ばしく揚げる。甘さは控えめで、七味がぴりりと利く。ご飯にも酒にも合い、子どもの頃から「しそ巻きとは、こういう味だ」と思ってきた。



考えてみれば、雑煮の餅や味噌汁の味噌、卵焼きの甘さまで、土地が変われば別の料理になる。同じ名を名乗っていても、中身は方言のように違うらしい。食文化とは大げさだが、台所にも立派な県境が引かれているのである。



妻に「店のしそ巻きが甘すぎる」と言うと、「向こうの人は、あなたの七味入りを辛すぎると言うでしょう」と返された。なるほど、正しい味などないのかもしれない。ただ一つ確かなのは、我が家の味を守る係は妻で、文句を言う係だけが私である。


85.日本おとぎ噺 「天狗のかくれみの(てんぐのかくれみの)」

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昔ある山里に、好奇心旺盛な若者が住んでいた。彼は人一倍、天狗の話に興味を持ち、「天狗のかくれみのを手に入れたい」と日々山へ足を運んでいた。ある日のこと、山中で木陰に座る一人の天狗を見つけた。天狗は赤ら顔に高い鼻、羽団扇を持ち、傍らに黒く輝く一枚の蓑を置いていた。若者は気配を殺し、天狗が眠りに落ちるのをじっと待った。



やがて天狗がぐうぐうといびきをかき始めた。若者はすかさず天狗の傍へ忍び寄り、そっと蓑を手に取った。その瞬間、自分の姿がふっと消えたのに気づく。驚きと喜びが入り混じる中、天狗が目を覚まし、蓑がないことに気づくと怒り狂い、山中を駆け回って探し始めた。若者は必死に逃げ、見えぬ姿のまま村へ戻った。



蓑の力で見えなくなった若者は、村でいたずらを繰り返した。人を驚かせたり、物を盗んだりして、次第に調子に乗っていく。しかし村人たちは「これは天狗の仕業だ」と恐れ、神社に祈祷を依頼した。祈祷が始まると、若者は次第に体が重くなり、息も苦しくなる。「これは罰だ」と悟った彼は、泣きながら蓑を山に返す決意をした。



山に戻った若者は天狗の像の前に蓑をそっと置き、「もう悪さはいたしません」と頭を下げた。その後、村では天狗騒ぎも収まり、若者は心を入れ替えて真面目に暮らすようになった。山では今も、誰にも見えぬその蓑が、風にそよぐ葉の音と共にひっそりと眠っているという。


『宮沢賢治・光と風の物語』第十六回「祭の晩」第2話 団子代を払えない山男/全4話

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祭りの会場を歩いていた亮二は、暗い檜の陰にある掛茶屋から大声が聞こえるのに気づいた。人垣の中では、先ほど見世物小屋で出会った大男が、団子二串の代金を払えず、村の若者たちに取り囲まれていた。大男は骨ばった赤い顔に汗を流し、何度も頭を下げていた。



若者が代金を払えと怒鳴ると、大男は激しくどもりながら、後で薪を百把持ってくるので許してほしいと頼んだ。耳の遠い茶屋の主人は「団子二串」と聞き違え、若者たちは、団子二串に薪百把も払う者がいるものかと笑った。大男は自分の住む場所を明かせず、悔しそうに涙をぬぐった。



亮二は、大男が空腹のあまり、見世物で十銭を使い切ったことを忘れて団子を食べたのだと悟った。悪人ではなく、むしろ正直で気の毒な人だと思い、亮二は財布に残った最後の白銅貨を握った。人々を押し分けて山男のそばへ進み、その大きな草履の上へ、誰にも気づかれないよう硬貨を置いた。



硬貨に気づいた大男は、驚いて亮二を見つめると、すぐに拾って茶屋の台へ置いた。そして、薪百把と栗八斗も後で返すと大声で叫び、人々を押しのけて風のように逃げ去った。誰かが「山男だ」と叫ぶと、強い風が吹き、檜や簾が激しく揺れた。亮二は不思議な出来事を祖父に話そうと家路を急いだ。