語り継ぐこころ/日本おとぎ噺・江戸小咄・古典落語・笑いの匠たち

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『宮沢賢治・光と風の物語』第十六回「祭の晩」第2話 団子代を払えない山男/全4話

100えんメガネ

祭りの会場を歩いていた亮二は、暗い檜の陰にある掛茶屋から大声が聞こえるのに気づいた。人垣の中では、先ほど見世物小屋で出会った大男が、団子二串の代金を払えず、村の若者たちに取り囲まれていた。大男は骨ばった赤い顔に汗を流し、何度も頭を下げていた。



若者が代金を払えと怒鳴ると、大男は激しくどもりながら、後で薪を百把持ってくるので許してほしいと頼んだ。耳の遠い茶屋の主人は「団子二串」と聞き違え、若者たちは、団子二串に薪百把も払う者がいるものかと笑った。大男は自分の住む場所を明かせず、悔しそうに涙をぬぐった。



亮二は、大男が空腹のあまり、見世物で十銭を使い切ったことを忘れて団子を食べたのだと悟った。悪人ではなく、むしろ正直で気の毒な人だと思い、亮二は財布に残った最後の白銅貨を握った。人々を押し分けて山男のそばへ進み、その大きな草履の上へ、誰にも気づかれないよう硬貨を置いた。



硬貨に気づいた大男は、驚いて亮二を見つめると、すぐに拾って茶屋の台へ置いた。そして、薪百把と栗八斗も後で返すと大声で叫び、人々を押しのけて風のように逃げ去った。誰かが「山男だ」と叫ぶと、強い風が吹き、檜や簾が激しく揺れた。亮二は不思議な出来事を祖父に話そうと家路を急いだ。