『宮沢賢治・光と風の物語』第十八回「ひかりの素足」第2話 吹雪の中の遭難/6話
一郎と楢夫は峠を越えようと雪山を進んだが、吹雪は急に激しくなった。風に押し戻され、道も足跡も見えなくなる。二人は互いの手を握り、雪に埋もれそうになりながら歩き続けた。

深い雪に足を取られ、楢夫の歩みは次第に遅くなった。一郎は何度も励ましたが、自分も寒さと疲れで息が苦しくなっていた。衣服や髪には雪が凍りつき、二人の体から少しずつ力が失われていった。

「激しい吹雪の中、疲れ切った楢夫は深い雪の上に座り込んだ。一郎も寒さと疲労で足元がふらついていたが、弟を置いてはいけないと、正面から両肩を支えて立たせようとする。二人は冬の衣服をしっかり身に着け、互いに励まし合いながら、再び歩き出そうとしていた。

周囲は薄暗くなり、山も道も吹雪の向こうへ消えた。二人は身を寄せ合い、冷たい風に耐えるしかなかった。聞こえるのは吹雪の音だけで、助けを呼ぶ声も雪に吸い込まれていく。兄弟は厳しい遭難の夜を迎えようとしていた。

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