語り継ぐこころ/日本おとぎ噺・江戸小咄・古典落語・笑いの匠たち

日本おとぎ噺・江戸小咄、古典落語・笑いの匠たちのダイジェスト版と挿絵です。たまに、私の与太話が入ります。 文も挿絵もChatGPTが作っています。   よかったら ★nice! をポチット押してね。

9.『江戸小咄』「浪人(ろうにん)」①

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時は江戸の町暮れどき、辻々には提灯の灯がゆらめく頃。ある浪人が、世の荒波にもまれつつ、食うや食わずの暮らしをしておった。武士の誇りを胸に抱きながらも、刀を売り、酒に頼り、今や路地裏の長屋暮らし。隣近所も、物静かなその浪人を、どこか気の毒に思いながら、遠巻きに見ていた。

そんな折、長屋の婆さまが風邪で寝込み、薬も買えず困っていた。浪人、それを聞きつけ、何も言わずにどこかへ出かけていった。やがて戻った浪人の手には、薬種屋の包みが一つ。婆さまに手渡すと、「黙って寝ておれ」と短く言い残し、自分の部屋へ引き返した。

その晩、長屋の者たちは浪人の部屋からひときわ澄んだ三味線の音を耳にする。誰もが、「あの浪人が、こんな腕前だったとは」と驚き、聴き惚れた。そして後日、薬種屋の話から、浪人が自らの三味線を質に入れて薬代を工面したことが明らかとなる。「侍の刀は売っても、婆さまの命は売れぬ」と、浪人はつぶやいたという。

やがて婆さまの病も癒え、浪人の噂は長屋から町内へと広まり、ついにはお座敷からの三味線の頼まれごとまで舞い込むようになった。浪人は黙して語らず、ただ静かに三味線を奏でるのみ。――江戸の空に、哀しみと誇りの調べが今日も流れている。

19.『日本おとぎ噺』 「雀とキツツキと山鳩」

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昔々、ある山のふもとの森に、雀(すずめ)、キツツキ、**山鳩(やまばと)**の三羽が仲良く暮らしていました。ある日、「どこかに住むのにちょうどいい場所はないかな」と話し合い、三羽はそれぞれ家を建てることにします。

まずキツツキが、「木を叩くのは得意だぞ」と言って、一生懸命木の中をくりぬいて立派な巣を作ります。次に山鳩は「枝と葉であたたかな巣をつくろう」と、ていねいに材料を運び、小さな枝葉を組んで家を作ります。ところが雀だけは、のんびりと歌いながら遊び歩き、家を作ろうとしません。

やがて秋が来て、冷たい風が吹き始めます。キツツキと山鳩はそれぞれの家であたたかく過ごしますが、雀は寒さに震えながら「助けてほしい」と二羽の家を訪ねます。キツツキは「努力しない者は迎えられない」と断り、山鳩も「自分のことで精一杯」と、渋々ことわります。

仕方なく雀は木の枝で丸くなり、一夜を越します。寒くて辛かったけれど、次の日、雀は「やっぱり自分で頑張らなきゃだめだ」と思い直し、遅れながらも巣作りを始めます。やがて冬が来るころには、小さくてもあたたかな家ができました。春になったとき、三羽はまた仲良く集まり、雀は「次はもっと早く始めるよ」と笑いました。

8. 『古典落語』「鴻池の犬(こうのいけのいぬ)」

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江戸の町に住む町人の男、ある日ふとしたきっかけで一匹の犬と出会う。どうやらこの犬、大阪・鴻池の大店から迷い出てきたらしい。首に巻かれた札に「届けてくれた者には礼金三両」とある。男は目を輝かせ、「こりゃひと稼ぎになる」と意気揚々と犬を連れて旅に出る決意をする。

江戸から大阪までは遠路の道中。男は犬とともに東海道を進み、時に雨風をしのぎ、時に飯をわけあいながら、旅の苦労を分かち合う。はじめはただの金目当てだった犬との関係も、次第に心が通い合ってくる。宿場では「犬を連れて上方を目指す奇妙な男」として話題になり、道中では道連れに笑いや情けを交えたやりとりも増えていく。

ようやく大阪・鴻池の屋敷に到着。男は「犬をお届けに参りました」と門前で胸を張る。ところが番頭は「ああ、その犬、もう戻ってきております」との返答。実は鴻池家にはそっくりな犬が複数いて、男が連れてきた犬は他所の家のもの。つまり、礼金三両どころか、全くの骨折り損であったのだ。

男は力が抜け、犬の首を抱え「お前、まさか…わざとだったのか?」とぼやくが、犬は無邪気な顔で尻尾を振っている。ふと笑いが込み上げ、「ま、ええか。お前さんとはえらい旅をしたな」と呟く。三両は手に入らずとも、道中で得たものは金には代えがたいと感じる男。こうして、江戸の町には、忠犬でも迷犬でもない、ひと味ちがった"鴻池の犬"の笑い話が広がっていく――。

18.『日本おとぎ噺』 「たにし長者」

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むかしむかし、ある村に年老いた母と、その一人息子が住んでおりました。ところがこの息子、生まれながらにして人間ではなく、なんと**たにし(田螺)**の姿をしていたのです。母は驚きながらも、「どんな姿でもわが子に変わりはない」と、毎日大事に育てました。

ある日、たにしの子は「おらも、嫁っこがほしい」と母に訴えます。母は困りながらも、村の長者に頼みに行きます。最初は笑われて追い返されましたが、何度も頭を下げる母の熱意に心を打たれ、末娘がしぶしぶ嫁にくることに。嫁入りの日、たにしは布団にくるまり、こっそり見守っていました。

ある晩、娘がふと布団をのぞくと、中からたにしではなく、りりしい若者が現れました。実はこの若者、神さまの加護によって一時的にたにしの姿をしていたのです。若者は「夜だけ人の姿に戻れるが、まだ秘密にしてほしい」と娘に語ります。やがて娘がその秘密を守り続けるうちに、若者の姿のまま戻れなくなることはなくなり、夫婦は仲むつまじく暮らします。

ふたりはその後、努力と知恵で田畑を開き、大きな財を成します。人々は彼を「たにし長者」と呼び、その徳をたたえました。母も安らかに暮らし、村人たちも彼の正直と努力に学びながら平和に暮らしました。

8.『江戸小咄』「挑灯(ちょうちん)」

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ある晩のこと、江戸の裏町。若い男が、暗がりの道をふらりと歩いていた。ちょうど町の辻にさしかかると、向こうから提灯の明かりが近づいてくる。「おや、誰か来るな」と男は立ち止まり、様子を見る。

その提灯を持っていたのは、隣町で評判の乱暴者・権六。喧嘩早くて、ひとたび怒らせれば手がつけられぬ。男は身を引こうとするが、権六のほうもじっとこちらを見て止まった。夜の辻で、ふたりの間に沈黙が落ちる。

「おい、そこの提灯!」と男が声をかける。「こっちへ寄越せ、道が暗くてな」と、虚勢を張って言い放つ。すると権六、「おぉ、いいぜ」と案外あっさり差し出す。男は拍子抜けしながらも、胸を張って受け取る。

だが権六、にやりと笑って一言。「その提灯、さっきお前んとこの表から盗んできたんだ」。男は顔を引きつらせ、提灯を見れば、確かに自分の家紋入り。権六は笑いながら闇に消えてゆく。
江戸の夜、提灯一つに笑いと肝の冷える話が灯った。