語り継ぐこころ/日本おとぎ噺・江戸小咄・古典落語・笑いの匠たち

日本おとぎ噺・江戸小咄、古典落語・笑いの匠たちのダイジェスト版と挿絵です。たまに、私の与太話が入ります。 文も挿絵もChatGPTが作っています。   よかったら ★nice! をポチット押してね。

『宮沢賢治・光と風の物語』第十七回「貝の火」第4話 失われた宝珠と父の教え/全4話

100えんメガネ

狐にそそのかされたホモイは、仲間たちに威張り散らし、ますます乱暴になった。すると「貝の火」は黒く曇り、ついには中で火花が激しく揺れ始める。父は危険を感じ、狐との付き合いをやめて心を改めるよう、もう一度強く諭した。



それでもホモイは父の忠告を聞かず、狐のもとへ向かった。狐と仲間たちは、宝珠の力を利用して好き勝手に振る舞おうとする。ホモイが得意げに「貝の火」を掲げた瞬間、宝珠は激しく震え、赤黒い光を放って音を立てた。



突然、貝の火は砕け散り、その破片がホモイの目を傷つけた。輝かしい宝を失ったばかりか、ホモイは目が見えなくなってしまう。狐や仲間たちは助けようともせず逃げ去り、残されたホモイは、自分の慢心と過ちを悔やんで泣き続けた。



父は傷ついたホモイを背負い、静かに家へ連れ帰った。そして、宝を誇る心よりも、善い行いを続ける心こそ大切なのだと教えた。ホモイは父の背で涙を流しながら、失った光の意味を悟る。貝の火は消えたが、その教えは心に深く残った。


39.『古典落語』「悋気の火の玉(りんきのひのたま)」

100えんメガネ

江戸の町の長屋に住む浪人、清三郎。無職の身だが、妻のしっかり者のお滝が支えて日々を過ごしていた。ところがある晩、清三郎が外で酒を飲んで帰ってくると、酔いどれ口調で「今夜は新しい女と…」と口走る。お滝は青筋立てて怒り心頭。嫉妬深い性格で知られ、「悋気(りんき)のお滝」とあだ名されるほど。口論の末、清三郎は「幽霊に会ったんだ」と苦しい言い訳をしてごまかすが、火に油。お滝は涙ながらに寝室を飛び出してしまう。



その夜更け、清三郎がふと目を覚ますと、座敷にぼんやりとした火の玉が浮かんでいる。しかもそれが女の顔に見え、「お前を許さぬ…」と囁く声まで。驚いた清三郎、寝具をかぶって震える。翌朝、町内で「火の玉を見た」と騒ぎ立てるが、誰も信じない。お滝も、「それ見たことか」と怒りをさらに募らせる。だがその夜もまた、火の玉は現れる。「許せぬ、浮気男…」と呪いのように繰り返され、清三郎はすっかり青ざめる。



とうとう清三郎、町の坊主を呼んでお祓いを頼むことに。ところが坊主が読経を始めると、火の玉はますます激しく燃え上がり、「坊主も一緒に許さぬ」と火花を散らす始末。怯えた坊主は逃げ帰り、清三郎は絶望のどん底。すがるようにお滝に謝ろうとするが、相手にされない。やむなく、町の古道具屋に頼み、火の玉除けの護符を山ほど買い込む。家中に貼り付けて、震えながら夜を迎える。



その夜、清三郎が恐る恐る眠りに入ると、またしても火の玉がふわり。「…もう懲りたかえ?」と聞こえる声。恐る恐る目を開けると、火の玉がスッと消え、代わりに現れたのは…お滝の姿! 実は一連の火の玉騒ぎ、お滝の仕組んだ芝居だったのだ。夜な夜な白粉を塗って提灯を持ち、恨めしい声を響かせたという。呆気にとられる清三郎、「女の嫉妬は本当に怖い…」とため息ひとつ。こうして、江戸女の執念と機知が輝いた一席は、夜の長屋にじんわりと笑いを残して幕を下ろす――。


「私の与太話」「終戦記念日」

100えんメガネ

八月十五日になると、私はいつも思う。
この日を「敗戦記念日」と言わず、「終戦記念日」と呼んできたのは、ただ言葉をやわらげたかっただけではあるまい。
負けた悔しさよりも、戦を終えた重さを胸に刻み、「もう二度と同じ道へは戻らぬ」と誓った先人たちの、苦い知恵だったのだと思う。



戦に負けた国は、本来なら力の怖さをいちばん知っている。
だからこそ、軍備に頼らず、威張らず、話し合いで物事を解決する国になろうとした。
それは夢物語と言われるかもしれない。だが、戦争で家を焼かれ、人を失った者たちにとっては、夢ではなく、命からしぼり出した願いだったはずである。



ところが戦後の日本は、防衛のため、危険な国があるため、攻撃された時に備えるため、と理由を重ねながら、少しずつ軍備を整えてきた。
ついには敵基地をたたく兵器まで持つという。
言い分は分からぬでもないが、気がつけば「守るため」という言葉が、「戦う準備」の別名になっているようにも見える。



先人たちは、力で脅し合う国ではなく、苦しくても話し合いで道を探す国を作りたかったのではないか。
近ごろの政治を見ていると、歴史が遠くで足音を立てているようで、どうにも落ち着かない。
落ち――終戦記念日とは言うけれど、どうやら戦のほうが、まだ成仏していないらしい。


90.日本おとぎ噺 「あんばらやみの馬」

100えんメガネ

昔、ある村の若者が、親に先立たれ一人で暮らしていた。真面目で働き者だったが、家が貧しく、なかなか暮らしは楽にならなかった。そんなある晩、夢の中にひとりの老人が現れ、「お前の苦労を見ておる。この先、あんばら闇に出る馬を捕まえれば、運が開けよう」と告げた。



夢から覚めた若者は、あんばらやみ――それは昼でも薄暗い森の名だった――に向かう決意をする。次の日、竹槍を持ち、草履でその深い森へと踏み入った。木々のざわめきと鳥の声に囲まれながら進むうち、不意に地響きが起こり、闇の中から黒い馬が現れた。目が赤く光り、鬣をなびかせて疾走してくる。



若者は恐れずに立ち向かい、必死で黒馬を捕らえると、馬は突然姿を変え、美しい白馬となった。白馬は人の言葉で「これからはお前のそばで働こう」と語った。以来、若者は白馬と共に山仕事や畑仕事に励み、収穫も倍増し、村一番の働き者と評判になる。



白馬と暮らすうちに、若者の家には人が集まるようになり、ついには立派な家族を持ち、村の長として皆に慕われた。あの夢の老人は、いつしか神様だったのだと語り継がれ、今もあんばらやみの森では、白馬が現れるという話が残っている。


『宮沢賢治・光と風の物語』第十七回「貝の火」第3話 狐の誘惑とホモイの慢心/全4話

100えんメガネ

美しく輝く「貝の火」の評判は森じゅうに広まり、ついにずる賢い狐の耳にも届いた。狐はホモイの家を訪ね、宝を大げさに褒めたたえ、「あなたほど立派な方にこそふさわしい」と巧みにおだてた。父の戒めを忘れかけていたホモイは、狐の言葉に気をよくし、自分が森で最も偉くなったように感じ始める。



狐はホモイを森へ連れ出し、出会う動物たちに貝の火を見せて威張るよう勧めた。ホモイが宝を掲げると、動物たちは驚いて道を譲った。その様子を見たホモイは、皆が自分の力を恐れ、敬っているのだと思い込む。以前の素直で親切な心は薄れ、狐を従者のように扱いながら、得意そうに森を歩き回った。



狐にそそのかされたホモイは、弱い動物たちに命令し、思いどおりにならない相手には腹を立てるようになった。仲間たちの困った表情にも気づかず、貝の火を持つ自分は何をしても許されると思い始める。そのとき、まばゆかった宝の奥に黒い影が浮かび、光がかすかに濁った。しかし慢心したホモイは、その変化を狐にも自分にも認めようとしなかった。



家へ戻った父は、貝の火の曇りとホモイの乱暴な態度に気づき、狐から離れて心を改めるよう諭した。だがホモイは、「みんなが僕を尊敬している」と言い張り、父の言葉を聞こうとしなかった。狐も外から甘い声で呼びかける。ホモイが再び狐のもとへ向かうと、貝の火の輝きはさらに弱まり、破滅の兆しが静かに近づいていた。