37.日本おとぎ噺 「鉢かつぎ姫(はちかつぎひめ)」
昔、ある国に美しく優しい姫が生まれましたが、幼くして母親を亡くしてしまいます。母は死ぬ間際に、姫の身を守るために「誰にもこの鉢を外してはならぬ」と言い残して、姫の頭に鉢をすっぽりと被せました。それ以来、姫は「鉢かつぎ姫」と呼ばれるようになりました。

成長した姫は、鉢をかぶったままでも心の美しさがにじみ出るような女性になっていました。しかし、人々は鉢をかぶっている姿を不思議がり、姫は世間の目を避けてひっそりと暮らすようになります。ある日、都で祭りがあると知った姫は、お供の者と一緒にこっそり出かけることにしました。

祭りの夜、偶然出会った若い貴公子が姫に一目惚れします。だが、鉢をかぶっていることに気づき、姫の素性に疑問を抱きます。姫も貴公子に心を惹かれながら、自分の正体を明かせず苦しみます。その後、家に戻った姫は悲しみに暮れながら、神仏に祈り続けました。するとある夜、奇跡が起き、鉢がぱかっと割れて頭から落ちたのです。中からは見事な金銀財宝が現れ、姫の姿もさらに輝く美しさになっていました。

やがて噂を聞いた貴公子が再び姫を訪ねてきました。鉢が外れ、眩いばかりに美しくなった姫の姿に目を見張りながらも、貴公子は静かに言いました――「たとえ鉢をかぶったままでも、あなたを想う心に変わりはありません」と。姫は涙を浮かべ、うなずきました。こうして二人は夫婦となり、やさしさと信心深さに満ちた姫は人々の尊敬を集めました。二人の幸せは国中の祝福を受け、末永く栄えたといいます。

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