『宮沢賢治・光と風の物語』第十八回「ひかりの素足」第3話 力尽きる兄弟/6話
吹雪はさらに激しくなり、一郎と楢夫は進む方角を見失った。雪は膝まで積もり、冷たい風が容赦なく二人の体を打つ。一郎は弟の手を握り、「もう少しだ」と励ましながら歩き続けた。

やがて楢夫は疲れ果て、「もう歩けない」と雪の上へ座り込んだ。一郎は弟を背負おうとしたが、自分の足にも力が残っていなかった。二人の着物や髪には雪が凍りついていた。

一郎は動けなくなった楢夫のそばへ座り込み、弟の肩を抱いて吹雪からかばった。自分の外套を楢夫へかけ、何度も立ち上がろうとしたが、深い雪に足を取られ、ついに進むことができなくなった。二人は助けを呼びながら、わずかな明かりを求めて雪煙の向こうを見つめた。

二人は身を寄せ合ったまま、次第に動けなくなった。一郎は眠りそうになる楢夫へ何度も声をかけたが、その声も弱くなっていく。厳しい雪山の夜が、兄弟を静かに包み始めた。

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