語り継ぐこころ/日本おとぎ噺・江戸小咄・古典落語・笑いの匠たち

日本おとぎ噺・江戸小咄、古典落語・笑いの匠たちのダイジェスト版と挿絵です。たまに、私の与太話が入ります。 文も挿絵もChatGPTが作っています。   よかったら ★nice! をポチット押してね。

41.『古典落語』「火焔太鼓(かえんだいこ)」

100えんメガネ

江戸は下町の片隅に、道楽者の八五郎が営む骨董屋があった。ところがこの八五郎、商売っ気はゼロ、品物の価値もろくにわからず、もっぱら好きな酒と与太話が日課。店先にはガラクタばかりが並び、見るからに冴えない風情。そんな八五郎を案じたご隠居が、たまには真面目に店を整理してみろと助言する。



しぶしぶ倉を片づけると、埃まみれの古太鼓が出てくる。これが“火焔太鼓”と呼ばれるものらしいが、八五郎には由緒も価値もさっぱり分からない。「燃えそうな名前だなぁ」などと軽口を叩く始末。だが、あまりに邪魔なので店頭に飾っておくことにする。偶然通りがかった武家の旦那が、この太鼓に目をとめる。しかめ面でしげしげと眺めた後、「それ、いくらだ」と聞いてくる。



八五郎、適当に十両と吹っかけると、なんと旦那は即金で買い上げて去っていく。「え、あれにそんな価値が?」と呆気にとられる八五郎。後で聞けば、あの太鼓は天下の名器「火焔太鼓」。とある名家の宝物が流れ流れて店先に転がっていたというわけ。店に残るご隠居は、あっけにとられ、ただただ口をぽかんと開けるばかり。



ことの顛末を聞いて笑いが止まらない八五郎。「ご隠居、目利きって案外むずかしいもんでさ」。太鼓が去ったあとも、店先には妙な余韻が残る。江戸の空の下、商いの妙と町人の運が織りなす、まさに粋な一席。つかみどころのない八五郎と、苦笑いを浮かべるご隠居――そんなふたりのやり取りに、今日も長屋の笑い声がこだまする。