『宮沢賢治・光と風の物語』 第十五回「水仙月の四日」第4話 命を守った赤い毛布/全4話
激しい吹雪が過ぎた朝、雪原に倒れていた子どもは、遠くから聞こえる人の声に気づいて目を開いた。体の上には赤い毛布が掛かり、その周囲には雪童子が集めた柔らかな雪が風よけのように積もっていた。子どもは寒さに震えながらも、まだ生きていた。

雪の上に立てられた木の枝を見つけた村人たちは、その近くに倒れている子どもへ駆け寄った。大人は子どもを抱き起こし、赤い毛布で体をしっかり包んだ。凍えた手には、まだわずかな温かさが残っている。村人たちは声を掛け合い、急いで家へ運ぶことにした。

子どもが助けられる様子を、雪童子は遠くの雪丘から静かに見守っていた。雪婆んごに知られれば叱られるかもしれない。それでも、命が守られたことがうれしかった。村人たちが子どもを連れて去ると、雪童子は誰にも気づかれないまま、白い風の中へ姿を消した。

暖かな家で介抱された子どもは、やがて元気を取り戻した。なぜ柔らかな雪に守られ、誰が目印の枝を立てたのかは、誰にも分からなかった。ただ、命をつないだ赤い毛布を見るたび、子どもは吹雪の中で感じた不思議な優しさを思い出した。雪原には、雪童子の足跡だけが淡く残っていた。

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