49.日本おとぎ噺 「かしき長者(かしきちょうじゃ)」
昔、ある村にとても貧しい夫婦が住んでいた。日々の暮らしもままならず、ある日、男は生きる望みをかけて都へと出ていくことにした。
途中、道端で一人の年老いた旅人に出会う。旅人は男に、「都で『かしき』というものを探してごらん」とだけ言い残し、姿を消す。男はその言葉を信じて、都で「かしきとは何か」を探し始めるのだった。

都に着いた男は、「かしきとは何か」と聞き回るが、誰に聞いてもわからない。ある日、とある屋敷の門前で「飯炊きのかしきを探している」という張り紙を見つける。どうやら「かしき」とは、大きな屋敷で炊事をする役目のことらしい。男は喜んで門を叩き、その屋敷で雇われることになる。毎日まじめに飯を炊き、こつこつ働き続けた。

ある日、屋敷の主人が引っ越すことになり、男もいっしょに新しい土地へ赴くことになる。長い月日が過ぎ、男はいつの間にか屋敷の経営を任されるようになり、ついにはその土地で一番の長者となる。かつての貧しさが嘘のように、男は「かしき長者」と呼ばれるようになった。

男はやがて故郷へ戻り、貧しかった頃の妻を迎えに行く。村人たちは信じられずに唖然とするが、男は変わらぬ笑顔で妻を抱きしめる。こうしてふたりは再び一緒になり、今度は裕福で幸せな暮らしを送った。村では今でも、「真面目に働く者は、かしき長者のように報われる」と語り継がれている。

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