語り継ぐこころ/日本おとぎ噺・江戸小咄・古典落語・笑いの匠たち

日本おとぎ噺・江戸小咄、古典落語・笑いの匠たちのダイジェスト版と挿絵です。たまに、私の与太話が入ります。 文も挿絵もChatGPTが作っています。   よかったら ★nice! をポチット押してね。

25.『江戸小咄』「文盲(もんもう)」

100えんメガネ

江戸の町は、今日もにぎやか。魚河岸の威勢のいい掛け声に、行商の笛の音。町角の長屋には、職人と商人がひしめき合い、子供たちは表でゴロゴロ遊んでいる。そんな町に住むのが、熊さんという大工。腕は確かだが、読み書きはちと苦手。もっとも、江戸っ子は理屈よりも気っ風が大事ときてるから、あまり気にしちゃいない。



ある日、熊さんが長屋に戻ると、お隣の八っつぁんが何やら神妙な顔。「熊さん、こりゃ大変だ。お上からのお触れが回ってきたんだが、読めなくてなぁ……」と巻物を差し出す。熊さんも困って「おいらも読めねぇや」と頭をかく。読み書きができる隠居に見せようと相談していると、近所の若い者がやって来て、「俺が読んでやろう」と得意顔。



ところが、その若い者が読み上げると「町内に入るべからず、文盲を罰す」とあるという。「なんだと!? 文盲は罪なのか!」と熊さんと八っつぁん、大慌て。読み書きができないことが罪になるなんてとんでもねぇ。江戸っ子の面目丸つぶれと、二人はしょんぼり肩を落とす。ところがそこへ通りかかった隠居が巻物を一読、「こりゃまるっきり読み違いだ」と一笑。



実際のお触れには、「町内に異人(いじん)入るべからず。問答に応ぜずとも罪にならず」と書いてあったのだ。文盲どころか、異国人と話せなくても問題ないという話。若い者が「文盲」と「問答」を取り違えたのが原因だった。「読み書きできるってのも、いい加減だとこえぇもんだな」と熊さんが呟き、八っつぁんもうなずく。夕暮れの長屋に笑い声がこだました。