語り継ぐこころ/日本おとぎ噺・江戸小咄・古典落語・笑いの匠たち

日本おとぎ噺・江戸小咄、古典落語・笑いの匠たちのダイジェスト版と挿絵です。たまに、私の与太話が入ります。 文も挿絵もChatGPTが作っています。   よかったら ★nice! をポチット押してね。

22.『古典落語』「千早振る(ちはやぶる)」

100えんメガネ

八百屋の与太郎が、長屋仲間に頼まれて、お茶屋の娘お花に恋文を届けることになった。しかし与太郎は手紙を届けるのではなく、自分でその恋文の中身を丸暗記して伝えようとする。だが、彼には教養がなく、文中の和歌の意味もまるでわかっていない。おまけに覚え違いも甚だしい。



その和歌というのが、「千早振る 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」という在原業平の名歌。ところが与太郎は、これを人の名前だと思い込み、「千早さん、振るさん、神代さん、もさん……」と登場人物として紹介してしまう。隣にいたのが竜田川さん、その奥さんがからくれないさん……と、まるで町内の人名紹介のようになってしまう。



聞いていたお花はぽかんとしながらも、与太郎のあまりの一生懸命さに呆れ、笑いをこらえる。やがて、たまりかねた亭主が「その歌はそういう意味じゃない」と与太郎に説明しようとするが、与太郎は「いやいや、あたしゃちゃんと覚えてきたんです」と得意満面に語り続ける。どこまでも真面目で無垢な与太郎の言葉に、周囲は大笑い。



結局、恋文の中身はまるで伝わらず、お花にも意味がわからぬまま。だが、与太郎の滑稽な言い間違いと、和歌の誤解がかえって場を和ませる。笑いの中に、江戸の庶民の教養や滑稽味、人情がにじむ一席となった。江戸の町には、こんな風に知ったかぶりの愛嬌者が、一人や二人、どこにでもいたのであろう――。