「私の与太話」「御朱印巡り①」
御朱印巡りの途中、山あいの小さなお寺へ立ち寄った。ところが山門は閉まり、本堂にも庫裏にも人の気配がない。無住寺とは聞いていたが、せっかく来たので、近くの家を訪ねて事情を聞くことにした。

近所の方は、「寺の書類や印は公民館で預かっている」と教えてくれた。しかも親切にも、一緒に公民館まで案内してくださった。戸棚や引き出しを開け、御朱印帳に使う印を皆で探し始めた。

騒ぎを聞きつけたのか、区長さん、世話役さん、元役員さんまで次々に集まってきた。「これは寺印だ」「いや、そちらは回覧板用だ」と、御朱印一つに公民館が臨時の寺務所になった。ようやく印が見つかり、丁寧に押していただいた。

私は何度も頭を下げ、皆さんの親切に感謝した。御朱印帳には寺の印が一つ増えたが、そのために集まった人数は、住職よりずっと多かった。無住寺でいただいた御朱印なのに、押してくださったのは、ほとんど村総出であった。

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