「私の与太話」「円安」
最近はスーパーへ行くたびに、「また値上がりか」とため息が出ます。野菜も魚も電気代も、何もかもが高くなりました。ニュースでは「円安による輸入物価の上昇」と説明しています。考えてみれば、日本は資源の少ない国。石油も天然ガスも小麦も海外から買わなければなりません。円の力が弱くなれば、同じ物を買うのにも余計なお金が必要になります。家計簿を眺めながら、「財布だけは円安に連動してくれないな」と思うのでした。

戦後しばらく、1ドル360円だった円は、先人たちの努力と日本企業の活躍によって次第に強くなり、一時は75円台まで上がりました。世界中で「メイド・イン・ジャパン」が信頼され、日本経済は勢いに満ちていました。ところが今は160円近い円安になることもあります。輸出企業には追い風と言われますが、輸入品の値上がりは庶民の暮らしに重くのしかかります。どうも景気の良い話はテレビの中だけのようです。

もちろん輸出産業が元気でなければ国も豊かになりません。しかし円安で海外に売りやすくなる一方、生活必需品はどんどん高くなります。私たちは知らず知らずのうちに、輸出競争を支える応援団になっているのかもしれません。もっとも応援団といっても、旗を振る代わりにレジで高い代金を払っているのですから、ずいぶん高価な入場券です。

そんなことを考えながら買い物から帰ると、妻がレシートを見て言いました。
「また値上がりしてるわねえ」
私が「国のために輸出産業を応援してるんだよ」と胸を張ると、
妻は即座にひと言。
「あなた、応援団じゃなくてスポンサーじゃないの?」
なるほど――円安で儲かる会社もあるらしいが、わが家で一番出資しているのは、どうやら私の財布らしい。

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