よもやま文庫/語り継ぐこころ

日本おとぎ噺・江戸小咄、古典落語・笑いの匠たち・私の与太話・古典小説のダイジェスト版と挿絵です。 文も挿絵もChatGPTが作っています。ちょんまげの描写が正しくできません。お許しを。

65.『古典落語』「 寿限無(じゅげむ)」

100えんメガネ

江戸の下町、あるところに、子どもを授かった町人の夫婦がいた。初めての我が子に、なにより「長生きしてほしい」という願いを込めて、父親は名づけを相談すべく、近所の和尚さまのもとを訪ねる。和尚は仏教の経典にある縁起のよい言葉をいくつも並べあげ、「これもよし、あれもまた福を呼ぶ」と、次々に名前の候補をあげるのだった。



父親は「どれもよい名なら、全部つけちまおう」と、貧しいながらも心豊かな江戸っ子らしい発想で、すべての言葉を連ねて帰る。こうして生まれた名が――
「寿限無寿限無 五劫の擦り切れ 海砂利水魚の 水行末 雲来末 風来末 食う寝る処に住む処 藪ら柑子のぶら柑子 パイポパイポ パイポのシューリンガン シューリンガンのグーリンダイ グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの 長久命の長助」
――という、息の続かぬほどの長名となった。



ある日、町内で小さな騒動が起きる。子ども同士の喧嘩である。相手の子が手を上げ、寿限無は頭にたんこぶをこしらえた。慌てた親が相手の家に怒鳴り込むが、「うちの子が悪かったです」と素直に謝られ、すんなり事は済みそうになる――ところがである。「じゃあ、被害届を出すから、名前を言ってくれ」と言われた相手の親が、寿限無の名前を聞いてびっくり。あまりに長すぎて、言い終わる前に日が暮れてしまいそうなのだ。



結局、「もう名を言ってるだけで喧嘩になる」と、誰もがくたびれてしまい、争いはどこへやら、町内に笑いが広がる。こうして寿限無は、名の長さゆえに怒られもせず、むしろ一目置かれる存在となる。
江戸の町には、こうした“名づけの洒落”に粋を見出す心があった。口にするだけで微笑みが生まれる名前、「寿限無」は、今もなお、人々の耳に残る長寿の願いと、江戸の遊び心が生んだ落語の珠玉である。


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