125.日本おとぎ噺 「鬼からもらった力(おにからもらったちから)」
ある山里に、力の弱いが心の素直な若者が暮らしていました。村人たちに手伝いを頼まれても思うように働けず、肩を落とす日々。ある晩、山道を歩いていると大きな鬼に出会います。若者は恐れつつも正直に「もっと人の役に立ちたい」と話しました。すると鬼は感心し、自らの力の一部を授けてやろうと、若者の背に大きな息を吹き込みました。その途端、若者の体に力が満ちあふれ、石も木も軽々と持ち上げられるようになりました。

力を得た若者は村へ戻り、人々の役に立とうと懸命に働きました。重い木材もひとりで運び、川の氾濫で壊れた橋もあっという間に直しました。村人は大喜びし、「ありがたい」と感謝を惜しみません。若者も嬉しく、鬼の力を大切に使おうと心に決めました。村は次第に豊かになり、若者はようやく皆の中で誇りをもって生きられるようになったのです。

ところが、力を持つがゆえに次第に欲が芽生えます。人々は頼りにしてくれるが、ある者が「もっと働け」と強く言えば、若者は苛立ち、ついには力を誇示するようになりました。大岩を持ち上げて「自分の力は誰にも負けない」と豪語する姿に、村人の心は恐れを抱くようになります。そのとき、ふいに鬼の声が空から響きました。「力は人のために使うもの。己を驕ればすぐに消え去るぞ」。若者ははっとし、自らの過ちを悟ります。

若者は深く反省し、再び人のために力を尽くすようになりました。田畑を耕し、村の祭りでは大きな柱を立て、人々の笑顔を支えました。不思議なことに、鬼の力は消えることなく、その心に応じて穏やかに保たれたのです。若者は「力は誇るものではなく、人と分かち合うもの」と学び、村の誰からも慕われる存在となりました。鬼からもらった力は、ただの怪力ではなく、正しい心を育む力でもあったのです。

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