120.日本おとぎ噺 「ふしぎな桝(ふしぎなます)」
昔、山里に住む年老いたお爺さんとお婆さんは、貧しくとも互いに思いやる正直で心優しい仲睦まじい夫婦でした。ある日、お爺さんが山で仕事をしていると、見慣れぬ木箱状の「ます」を拾います。その「ます」はどこから来たのか、なぜそこにあったのかもわからず、ただふたりはその不思議な道具に心惹かれて、大切に持ち帰ります。

家に帰り、何気なくその「ます」に水を注いでみると、なんと水が枡一杯以上に、さらには永遠に注ぎ続ける様に見えます。驚いた二人は恐る恐る試してみたものの、それでも尽きず、いつまでも溢れ続けるその光景に目を見張ります。
その夜、夫婦は「この枡には何か不思議な力がある」と話し合いながらも、その正体はいまだ掴めません。

翌朝、茶碗に水を汲もうと「ます」を使ってみると、なんとその水がどれだけでも尽きず、驚いたお婆さんが「もっとお米がほしい」「もっと野菜がほしい」と願いを込めるように言うと、部屋いっぱいに料や作物が次々に現れます。夫婦は「これが神さまの贈りものかもしれない」と感謝しつつも、少し怖さも感じます。

やがて、この「ます」の力は村中にも知られるところとなり、夫婦は周囲の困った人々にも分け与えます。けれど欲張る者には何も出ず、欲のない者には少しずつ恵まれるようになります。夫婦は、この不思議な枡を通じて「心の在り方」が結果に深く関わっていることを、改めて感じ取り、静かに暮らし続けたのでした。

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