118.日本おとぎ噺 「うぐいす長者(うぐいすちょうじゃ)」
昔、山里に一人の貧しい若者が住んでいた。山仕事で生計を立てていたが、ある冬の日、雪の中で一羽のうぐいすが倒れているのを見つける。若者はそっと手に取り、家へ連れ帰り囲炉裏のそばで温め、餌を与えて看病した。やがてうぐいすは元気を取り戻し、美しい声で鳴き始める。若者は「もう大丈夫だ」と、春の山へ放してやった。

それからしばらくして、若者が山へ行くと、あのうぐいすが姿を現し、澄んだ声で鳴きながら道案内をする。不思議に思いながらも後をついていくと、山奥に見たこともない立派な屋敷が現れた。中から現れた美しい娘が「命を助けていただいたお礼に」と言い、若者をもてなす。うぐいすは実はこの屋敷の主であり、娘はその化身だったのだ。

娘は金銀財宝を詰めた箱を若者に渡し、「これで暮らしに困らないように」と告げる。若者が礼を言って帰ると、家はたちまち豊かになり、村人たちは驚く。しかし、うわさを聞きつけた欲深な隣の男が真似をしようとする。彼はうぐいすを捕まえ屋敷に行こうとするが、乱暴に扱ったため、屋敷に着く前にうぐいすは飛び去り、男は道に迷ってしまう。

若者は財を得ても驕らず、村人に分け与えて皆で豊かに暮らした。一方、欲張りな隣の男は何も得られず、元の暮らしに戻った。以来、村では「心優しき者には福が訪れる」と語り継がれるようになったという。春になると山から美しいうぐいすの声が響き、若者はそのたびに感謝の気持ちで手を合わせた。

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