48.『古典落語』「長短(ちょうたん)」
長屋に住む二人の男。ひとりは短気な与太郎、もうひとりはのんびり長兵衛(ちょうべえ)。性格は真逆だが、なぜかウマが合う。朝から与太郎が怒鳴る。「てやんでぇ、朝飯が遅い!腹が減って目が覚めたじゃねえか!」それを見た長兵衛は、「ゆっくり起きるのがええのさ、朝日を浴びて伸びでもしながら…」と、おっとり笑う。そんな調子で、日々の暮らしも、まるで落語のボケとツッコミのように進んでいく。

ある日、与太郎が熱を上げているという話を聞いた長兵衛、さっそく見舞いにやってくる。「おい、薬は飲んだかい?」「飲んだが、遅すぎて効きゃしねえ」「いや、薬というのはね、ゆっくり効いてくるもんだよ」。またしても言い争いが始まる。与太郎が苛立てば、長兵衛は悠然とかわす。まるで江戸の短気と長気の見本市。周囲の長屋衆も、その丁々発止のやりとりに耳を傾けては、くすりと笑っている。

しかし、ある夜。二人はとうとう本気の喧嘩に。発端は些細なこと、「風呂の湯加減が熱すぎた」だの「線香の火の点け方が違う」だの…。与太郎は「てめえの呑気さには付き合ってられねえ!」と怒鳴り、長兵衛は「短気は損気、そんなに怒鳴ってどうするんだ」と、さらに火に油を注ぐ。まわりの長屋の住人たちが間に入るも、収拾がつかず――あれほど仲の良かったふたりに、ついに別れ話が持ち上がる始末。

ところが翌朝、何事もなかったかのように、二人は並んで豆腐を買いに出かけていた。「おい、昨日のことだけどよ…」「ああ、すまんかったな」「お互い様ってやつだな」と、あっさり仲直り。周囲の住人は呆れながらも、どこか安心している。長と短が交わるところに、江戸の人情と笑いがある。そんなふたりのやりとりに、今日も長屋に笑い声がこだまするのであった――。

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