よもやま文庫/語り継ぐこころ

日本おとぎ噺・江戸小咄、古典落語・笑いの匠たち・私の与太話・古典小説のダイジェスト版と挿絵です。 文も挿絵もChatGPTが作っています。ちょんまげの描写が正しくできません。お許しを。

『知られざる 宮沢賢治童話 』 第一回 「かしわばやしの夜」第2話 柏の木大王と月光の宴/全4話

100えんメガネ

林の奥へ進んだ清作は、ひときわ太く立派な柏の木の前へ案内された。それは柏の木大王で、枝には威厳のある葉を茂らせ、周囲の若い木々を従えていた。大王は画描きを客として迎え、その後ろに隠れる清作にも気づいた。清作は木々が人間のように話す不思議さに驚きながら、礼儀正しく頭を下げた。



柏の木大王が枝を大きく振ると、林の若い柏たちは輪になり、片脚を上げて踊り始めた。月の光は葉の間から青白く降り注ぎ、木々の影が地面をくるくる回る。木々は調子外れながら陽気な歌をうたい、画描きは絵の具箱を開いて、その珍しい姿を描こうとした。清作も次第に恐れを忘れ、宴の様子に見入った。



ところが、歌の順番や言葉をめぐって、柏の木たちが言い争いを始めた。自分の歌こそ一番だと枝を振り回し、葉を鳴らして相手をからかう。楽しかった宴はたちまち騒がしくなり、大王が注意しても、若い木々はなかなか静まらない。清作は木の世界にも、人間と同じような意地や張り合いがあることを知り、少しおかしく感じた。



柏の木大王が地面を強く踏み鳴らすと、林は一瞬で静まり返った。大王は、月夜の宴は勝ち負けを決めるためではなく、皆で歌い踊るためのものだと諭した。若い柏たちは恥ずかしそうに枝を下げ、再び仲よく輪をつくった。月光の中に穏やかな歌声が戻り、清作は夢のような光景を胸に刻みながら宴を見守った。


×

非ログインユーザーとして返信する