「私の与太話」「柿とカメムシ」
秋になると、庭の小さな柿の木に実がつくのが、私のささやかな楽しみである。木は手の届く高さにしてあり、毎年二十個ほど実る。赤く色づいていく様子を眺めながら、「今年もそろそろ食べごろだな」と楽しみにしていた。

ところが今年は様子が違った。実をよく見ると、あちこちに傷があり、形も色つやもおかしい。調べてみると犯人はカメムシ。今年は大発生だとは聞いていたが、まさか我が家の柿が狙われるとは思わなかった。しかも、柿はカメムシの大好物らしい。そんな大事なことを、私はちっとも知らなかったのである。

慌てて追い払おうにも、相手は小さいくせに数が多い。しかも近づけば、あの独特のにおいまでちらつかせる。私は柿を守っているのか、カメムシに家を明け渡しているのかわからなくなった。秋の実りを待っていたはずが、気がつけば毎日、木の前で「今年の収穫はカメムシ殿に献上か」とぼやく始末である。

結局、今年の柿はあきらめて、秋の味覚は店で買うしかなさそうだ。自分の庭に木があるのに、食べる柿はスーパーで選ぶとは、なんとも締まらない話である。もっとも、丹精こめて育てた柿をカメムシに先に味見されるくらいなら、いっそ最初から店の柿のほうが安心だ。――来年は、私より先にカメムシへ秋の予定を聞いておこうか。
